仏、ワクチンパス移行に反対も
Japan In-depth / 2022年1月15日 7時0分
また、政府も使用しているDREESのデータと、集中治療室(ICU)を占めているワクチン未接種者の割合が違うことについても、複数のメディアで独自の調査が行われた。
▲写真 国立ベロドロームでワクチン接種を受けるパリ市民(2021年12月22日フランス・パリ西部サンカンタンアンイブリーヌ) 出典:Photo by Chesnot/Getty Images
それによれば、DREESのデータはその期間にICUに入った人数の割合であるということだが、政府や病院が発表する割合は、その日にICUのベットを占めるワクチン未接種者の割合だ。ワクチン未接種者は接種者より重症化して滞在期間が長くなるため、長期の入院となりベッドを占める割合が多くなるのだ。例えば、DREESで12月に55.8%がICUに入ったと書かれていても、実際に現時点でベッドを占領しているのは、以前から入院している人も含めて結果的に80%になっている。
いずれにせよ、12歳以上のワクチン未接種者がフランス全体では7.5%ほどしかいないのにもかかわらず、ICUに入る患者の55.8%が未接種者であるというのはかなり多いことがわかる。ましてや、最終的に80%のベッドを占領することになるということで、政府も強硬な対策に出ているのだろう。
だが、そういったワクチンパス反対派の活動は、SNSでの噂の流布だけではない。
議員や市長などの家に脅迫状が送られたり、家の前に止めてある車に放火されたりなど、すでに300件以上の被害届がでている。
カナダの沖に位置するフランス領、サンピエール島・ミクロン島が選挙区の与党所属のステファン・クレロ下院議員宅では、自宅に押し寄せたデモ隊により海草を投げつけられた。この姿を映した映像は、世界中に拡散され多くの人に衝撃を与えた。マクロン大統領も「耐えることも容認することもできない事件」とし非難した。
そのマクロン大統領が、1月4日に(ワクチン接種を促進させるために)ワクチン未接種者を「困らせる」と発言したことはかなりの話題をよんだ。それは、下院で行われていたワクチンパスの審議が、野党からの非難により混乱を招き中断するまでに影響を与えるほどだった。
それでも、下院はなんとか法案を賛成多数で通し、上院に受け渡されたが、この発言はデモを再び活発化させる原因にもなった。発言後すぐの土曜日である1月8日にはフランス全土で10万5200人がワクチンパス反対デモに参加し、その人数は、前回の12月18日に比べて4倍となったのだ。
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