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米中関係と日本 その1 バイデン政権の対中軟化

Japan In-depth / 2022年2月7日 23時0分

 また、バイデン政権はカナダが拘束していたファーウェイ副会長の身柄引き渡しを求めていたのに、唐突に中国に帰してしまった。要は、身柄引き渡しに猛反発していた中国に全面的に折れたわけで、バイデン政権の軟弱化を印象づけました。気候変動問題でも中国側との協調姿勢をアピールしています。要するに、中国とは対決しないという姿勢を取り始めているわけです。


写真)拘束されていた頃のファーウェイ副会長の孟晩舟氏。足に逃走防止用のGPSが装着されている。(2020年1月17日 カナダ・バンクーバー)
出典)Photo by Jeff Vinnick/Getty Images


バイデン政権の直面する内憂外患


 ―― こうした対中姿勢の変化の背景には何があるのでしょうか。


 古森 メキシコ国境での違法入国者の急増や民主党内での経済政策や新型コロナウイルス対策をめぐる挫折、あるいは後で述べますが、ウクライナ問題をめぐるロシアへの対応など内憂外患に直面していることが大きいと思いますね。特に、バイデン政権は巨額の財政支出によってコロナで疲弊した国民の救済や経済の回復を目指す「大きな政府」路線を推進しているのですが、これには共和党が反対しているばかりか、最近は民主党内にも造反者が出てきて、政府支出が止められてしまうという事態も起こりました。


 また、バイデン政権が次第に左翼路線に傾斜していくなか、中道派や保守派の中で反発が強まってきている。民主党内や無党派層でもその傾向が顕著になりました。その影響が最も象徴的に表れたのが、昨年11月に実施されたバージニア州の知事選です。この知事選では、民主党のエリート候補が再選を果たせなかった。


 バイデン政権は全体的に弱体化しているように思いますね。


軍事忌避体質が中国を助長する


 ―― つまり、バイデン政権の対中軟弱化は、様々な内憂外患に直面している結果であると。


 古森 それと同時に、バイデン政権が国防費を事実上減らしているのも問題です。アメリカの国防費はGDPの4%弱で、2022年度には前年度比5%増ほどとなりましたが、今のアメリカはインフレ率が7%近いので、事実上の国防費削減になっている。その結果、例えば米軍の対中抑止能力の向上を目指す「太平洋抑止イニシアティブ」という計画への予算は、実質的には軍部が求めていた金額の3分の1ほどに減っています。アフガンからの米軍撤退をめぐる失態もそうですが、バイデン政権は軍事を重視していないというか、軍事を忌避する傾向さえあると言えるのです。


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