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米中関係と日本 その1 バイデン政権の対中軟化

Japan In-depth / 2022年2月7日 23時0分

 一方、中国は軍事を最重視する国ですから、軍事的に相手が出てこないとなると、彼らが前に押し出てきます。実際、台湾の防空識別圏に何十機もの中国軍用機が頻繁に入ってくるようになりました。また、尖閣諸島の周辺海域にも武装船が以前にも増して繰り返し侵入しています。明らかに、トランプ政権の時よりも、中国が攻勢に出てくるようになった。


 さっき言った民主主義サミットに対しても、中国は「中国の民主白書」を発表し、自分たちこそが民主主義だと反撃しています。欧米の民主主義に対して、自分たちは「人民民主」だとして、攻勢に出てきているわけです。


 トランプ政権の時は、中国が出てくるのを抑え付けることが出来ていた。ところが、バイデン政権はもともと対決とか抑止ではなく、競合とか競争と言っていた。つまり、中国が出て来るのは仕方がないという前提で、中国とは競合や競争をしていくし、例えば地球温暖化防止やコロナ対策では中国と協力や協調もするということです。


 結局、中国との協力・協調という部分があるかどうかが、バイデン政権とトランプ政権との大きな違いと言えますが、特にここ数カ月のバイデン政権には、協力・協調の部分が多くなっているわけです。


 ですから、米中関係をめぐる今後の展望としては、中国が今までよりも無謀かつ不当な方法で国際的にいよいよ膨張してくるだろうし、アメリカとその同盟国に対してもますます圧力を加えてくるだろうと思いますね。


―― そうした中で、特に懸念されるのは台湾危機ですね。


 古森 その通りです。中国にとっては、台湾は自分たちの国の一部という認識ですから、絶対に台湾制圧をしたいと思っている。現段階では米軍の介入を阻止して、軍事侵攻するだけの力はまだ中国にはありませんが、東アジアにおける米中の軍事バランスが逆転するのはこのままだと時間の問題です。


(その2につづく。全3回)



この記事は日本政策研究センターの月刊雑誌『明日への選択』2022年2月号に掲載された古森義久氏へのインタビュー報告「『宥和』のバイデン政権が中国を増長させる」の転載です。

 


トップ写真)バイデン米大統領と中国・習近平国家主席(2013年12月4日 北京)
出典)Photo by Lintao Zhang/Getty Images


 


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