強制収容所生まれ日系ベトナム帰還兵の思い
Japan In-depth / 2022年2月21日 7時0分
柏原雅弘(ニューヨーク在住フリービデオグラファー)
【まとめ】
・2月19日は、12万人以上の日系人が強制的に収容所に送り込まれた大統領令「9066号」の署名から80年にあたる。
・1944年、カリフォルニア州の強制収容所で日系2世として生まれた古本武司さんに話を聞いた。
・米国の理想の実現のために、今は自らの経験を語る活動や議会での証言などの活動を精力的に行っている。
日米開戦の真珠湾攻撃から80年。
今年の2月19日は、当時のルーズベルト大統領が、12万人以上の日系人が強制的に収容所に送り込まれることになった大統領令「9066号」に署名してからちょうど80年にあたる。
強制収容は、1988年にレーガン大統領が正式に、強制収容は過ちであったことを認める法案に署名して謝罪。損害賠償金が支払われたが、この法案の実現には、1943年に情報部も同意した「日系アメリカ人は危険ではない」という報告書を軍事指導部が破棄しようとした証拠が1980年代になって発掘されたことが大きく寄与したことはあまり知られていない。
大統領令「9066号」による敵国人の強制立ち退き、収容は、少数のドイツ系市民、イタリア系市民にも適用されたが、彼らは収容から比較的短期間で開放されたのに対し、日系人は終戦まで、故郷から遠く離れた辺境の地での強制収容が解かれることはなかった。根底には日本人に対する根強い人種差別があった。
このことを強く証言する人がいる。
古本武司さん、77才。
現在はアメリカ、ニュージャージー州で不動産業を営む。
1944年(昭和19年)カリフォルニア州のトゥーリーレイク強制収容所で日系二世として生まれた。
広島からの移民一世である父親は、戦前までアメリカ西海岸で卸売業の会社を経営し、26人という従業員を抱えるまでに事業は成功、裕福な暮らしをしていたが、日米開戦で発せられた大統領令9066号により、財産のほぼすべてを放棄させられ、妻と子供4人で強制収容所に送られた。
送られた最初の収容所で行われたアメリカへの忠誠を誓う質問に「No」と答えたため、アメリカ生まれのアメリカ市民である母も含め、家族全員が忠誠を誓わない日系人ばかりを収容するトゥーリーレイク強制収容所に入れられる。
▲写真 トゥーリーレイク強制収容所内での古本さん一家。抱きかかえられているのが古本さん 提供:古本さん
強制収容所が閉鎖されたあとは、米国生まれの母親の市民権は剥奪、強制にも近い退去の圧力をかけられ、古本さんも含めた全員が、親戚が住む、広島に移住せざるを得なかった。
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