ウクライナ巡り政府・与党で場外乱闘 遠因は岸田政権の〝親露政策〟継続?
Japan In-depth / 2022年2月22日 11時0分
■ 政局がらみの岸田批判と擁護か
高市氏は昨年秋の臨時国会でも、中国念頭の人権侵害非難決議を採択するよう自民党の茂木敏充幹事長に要請、拒否されると「悔しい」と憤慨して見せた。
〝政敵〟に対するような発言で政府・党の方針を批判するあたり、次の総理の座に並々ならぬ意欲を示す高市氏が、間接的に岸田首相を批判したと勘繰られてもやむをえまい。
一方の福田氏も、昨年の岸田新体制発足にあたって、当選3回、閣僚経験がないまま党3役の一角を射止めた。大先輩の高市氏に平然とかみつくあたり、祖父、父が総理という血筋を差し引いても、その度胸はなかなかというべきだろう。
写真)福田達夫総務会長
出典)内閣府ホームページ
みずからを抜擢してくれた岸田首相への〝忠誠心〟から内閣を擁護したのかもしれないが、それだけに、これまた政治的、政局がらみの発言と受け止められかねない。
ウクライナをめぐる与党幹部の発言が、そういう印象を与えるとすれば、国際的な危機に対する日本の真剣さを疑われることにもなろう。
■ この時期の対露経済対話は適切か
両氏の発言の真意がどこにあるかは措くとしても、外相がこの時期に、ロシア閣僚と経済協力について話し合うというのは、やはり、適当さを欠いたというべきだろう。
ウクライナをめぐる緊張については、ここで詳しく論じる必要はあるまい。
各国は、「第2次大戦後最大の危機」として、軍事侵攻が強行されたなら、貿易のドル決済からの締め出しを含むかつてない規模の制裁を行う構えだ。
そうした中で、外相がロシア側と経済協力について話し合い、「幅広い分野で日露関係全体を発展させる」などと呼びかけているのだから、各国がそれを知ったなら、強い疑念を抱かれるのは必定だ。
■ クリミア併合時も実効性欠く甘い制裁
思えば、2014年にロシアがウクライナ南部のクリミアを併合した時の日本政府の対応も鈍かった。
当時の安倍政権が課した制裁は、関係者へのビザ発給停止、66個人、16団体の資産凍結、ロシアの主要銀行による新規証券募集、発行の禁止、武器禁輸などだった。
資産凍結された個人、団体はいずれもウクライナ国内の協力者らだけ、ロシア要人は含まれず、またロシア向け武器輸出はないから、実効性はほとんどなかった。
アメリカ、欧州による貿易、経済分野での協力、軍事協力、エネルギー企業5社への技術供与停止などに比べれば大きな違いだ。(参照:2022年1月29日掲載『毅然さ欠く日本のウクライナ危機対応 クリミア併合時の轍踏むな』)
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