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コロナ対策に福島の教訓活かせ

Japan In-depth / 2022年2月24日 23時0分

コロナ対策に福島の教訓活かせ


上昌広(医療ガバナンス研究所理事長)


【まとめ】
・福島での教訓とは、災害に関わる様々な規制が高齢者にストレスを与えるということである。


・まん延防止措置でどの程度高齢者の重症化が予防できるか明らかではない。


・まん延防止措置などの規制は、高齢者の命を奪うことを念頭に、必要最小限に留めるべきである。


 


 東日本大震災から11年が経とうとしている。医療ガバナンス研究所のメンバーは、福島での診療・研究を続けている。その中の1人である尾崎章彦医師は、「コロナ対策に福島の教訓が活かされていない」という。どういうことだろうか。


 福島の教訓は、災害において高齢者が弱者となることだ。様々なストレスで体調を崩し、命を落とす。例えば、2017年8月に相馬中央病院の森田知宏医師らが発表した研究によれば、福島県相馬市と南相馬市の原発事故後の死亡リスクは、それ以前と比べて男性で2.64倍、女性で2.46倍上昇していた。原発事故による被曝で亡くなった人はいないが、多くの高齢者が故郷からの避難や仮設住宅での生活などのストレスで、持病を悪化させて死亡したことがわかる。


 このような福島の経験は、前出の尾崎医師や森田医師、さらに坪倉正治・福島県立医科大学教授のチームによって英文論文として発表され、高齢化した先進国では、災害による直接的な死亡より、災害関連死が重要であることが世界的なコンセンサスとなった。


 では、コロナではどうだろうか。現在、コロナ感染者による死者が急増している。2月22日に亡くなったのは322人だ。これは図1に示すように、過去最高だ。



図1)日本における一日ごとのCOVID‐19による死亡者数推移
出典)Johns Hopkins Unversity CSSE COVID-19 Data


 ただ、これは感染者が急増したためで(図2)、致死率が高まった訳ではない(図3)。



図2)日本における一日ごとのCOVID-19感染者数推移
出典)Johns Hopkins Unversity CSSE COVID-19 Data



図3)COVID-19の平均症例死亡率(症例数に対する死亡者数の割合)の推移
出典)Johns Hopkins Unversity CSSE COVID-19 Data


 死亡した患者の多くは高齢者だから、彼らへのワクチンの追加接種が遅れたことが大きい。図4は2月14日現在の経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国の追加接種終了率を示す。日本は10.3%で最下位だ。


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