朝日新聞とヒトラー 最終回 狡猾だが幼稚なレッテル貼り
Japan In-depth / 2022年2月28日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・朝日新聞、嫌いな政敵にヒトラーやナチスのレッテル貼りを共産国の独裁者には使わず。プーチン氏にも使わない。
・ゲーリングと安倍晋三氏を重ねる極端な筆法も。民主主義の審判への冒涜、記者のゆがみ、朝日新聞全体のゆがみ。
・菅直人元首相の「ヒトラー比喩発言」を批判した朝日記者に問いたい。自社の山のような実例の数々をどう思うのか。
朝日新聞がその独自な主張を発信する際にヒトラーやナチスをよく引用することを詳しく実例をあげて、報告してきた。目の前の自分たちが嫌いな政敵を絶対悪とされているヒトラーに重ねて、読者に同一視させようとする狡猾だが幼稚なレッテル手法である。
朝日新聞がそのヒトラーやナチスのレッテルを貼る標的は、わが日本の総理大臣の小泉純一郎氏や安倍晋三氏が多いことも伝えてきた。アメリカのドナルド・トランプ大統領である実例も報じてきた。
その一方、ふしぎなほど朝日新聞はこのレッテルを共産主義国の独裁者に対しては使わない。ロシアのプーチン大統領に対しても使わない。現代の各国の最高指導者ではプーチン氏ほどヒトラーに似た特徴の人物も、まず少ないのに、である。
2022年2月末の現在、世界はロシアのウクライナへの全面軍事攻撃に衝撃を受けた。プーチン大統領の国際的な秩序や規則を踏みにじる行動には全世界から糾弾が起きた。そのプーチン非難の国際的な広がりは、身近な例では読売新聞2月26日付朝刊でも写真入りで詳しく報じられた。その写真のなかに、プーチン大統領とヒトラーの顔を重ね合わせた一枚があった。スペインのバルセロナでの抗議デモの写真だった。
そのキャプションには「ナチス・ドイツのヒトラーとプーチン露大統領の顔を組み合わせた画像を掲げる人」と記されていた。だが朝日新聞はこんな「類似」は決して提起しない。その標的はきわめて限られているのだ。
▲写真 プーチン大統領とヒトラーを重ねるプラカードを掲げ、ロシアのウクライナ侵攻に抗議する人々。(2022年2月27日 ポルトガル・リスボン) 出典: Photo by Horacio Villalobos#Corbis/Corbis via Getty Images
さてこの連載の最終回で、その朝日新聞のナチス・ヒトラー悪用でもとくに極端な事例を報告しておこう。同じナチスでもこんどは「国家元帥ゲーリング」を持ち出して、安倍晋三首相に重ねるという極端な筆法をとったのだ。ゲーリングといえば、ヒトラーの側近だった。これには呆れ果てた。あまりに非現実的、あまりにゆがんだヒトラー悪用の安倍叩きだったからだ。
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