外来語と和製語について(下) 日本の言論状況を考える 最終回
Japan In-depth / 2022年2月28日 23時0分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・「サラリーマン」という和製英語は元々は英語圏で使われていたが、今では死語であるように、なにをもって「正しい英語」とするのかは言えない。
・むしろネットユーザーが流行らせた言葉の方がインターナショナルになるのではないだろうか。
・一部のネット民は日本語を乱しているのではなく、市民社会の秩序を乱している。社会の一員として、言ってよいことと悪いことがある。
以前にもこの連載に登場願った韓国人ジャーナリストのヤン・テフン氏と、共同で本を作ったことがある。私が彼にインタビューして構成・執筆したもので、タイトルは『僕は在日〈新〉一世』(平凡社新書)。
その中で、和製英語に触れている箇所もある。彼に言わせると、和製英語は辞書にも載っていなかったりするので、日本語を学ぶ外国人にとっては難物だそうである。彼はまた、こんなことも語ってくれた。
「韓製英語というものは、ありません。けれども和製英語の代表的なものである〈サラリーマン〉は、韓国でも通じます。日本企業との縁が、それだけ深いということでしょうね」
この本が出版されたのは2007年で、今ではかなり事情が変わっているようだ。日本で言うネット民に相当する「ネチズン=ネットシチズンの略」は広く使われているようだし、ヤン氏自身も、つい先日の電話では、「今の韓国は、ネットを中心に韓製英語があふれてますよ。ただ、僕も今や韓国を離れて30年になるもので、本当に英語が韓国に伝わっているのか、それとも韓製英語なのか、もはや判断できなくなってしまってます」 などと言っていた。
ところで、サラリーマンという単語は、いつ頃から人口に膾炙するようになったのだろうか。今回この記事を書くために、様々な和製英語の語源について調べてみたのだが、どうもサラリーマンは別格と言おうか、和製英語の中でも「由緒正しい」ものであるらしいのだ。
もともと英語にsalaried manという単語があり、口語的略語系としてのsalarymanも認知されていた。つまり、和製英語と言えるかどうかさえ微妙なのである。
字義通りには「給与生活者」の意味で、サラリーとはもともとラテン語で「塩」なのだが、これは古代ローマ時代において、兵士の給与が塩で支給されたり、奴隷の値段が塩の相場とリンクしていた時期があったことから、給料の意味が派生したとされている。
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