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日本はインフレにはならないのか 欧米とコントラストをなす日本の金融政策

Japan In-depth / 2022年3月2日 18時0分

このように、どうも日本経済には、元気一杯ビジネスを続けていくことができないコーナーに追い込まれている感じがある。それは、ひょっとすると、高齢化に伴う国内市場の縮小とグローバル市場での新興国の隆盛の下にあっても、できるだけこれまでのビジネスを変えないようにしようと、懸命に努力してきたからなのかもしれない。





■ 欧米はどうしてデフレにならなかったか? 





欧米の先進国も、高齢化と新興国の隆盛の影響を、程度の差はあっても受けてきた。しかし、それらの国々では、移民に門戸を開き、日本より高い失業率に耐え、経済の構造を変えてきた。その下で、インフレに関して言えば、賃金の上昇率が日本ほど低下せず、賃金は上がるものだというムードが社会から消えていない。そうした賃金の動向が、サービスの価格に反映され、消費者物価の前年比もマイナスにはならなかった。





そうした展開となったのは、新興国との競争の中で、今後長くビジネスを続けていくことが難しいと思われた分野から、より持続性のある分野へと、様々な経営資源が日本より速やかに移動したからだと考えることができる。その移動は、労働者の側でも、また経営の側でも起こった。その結果、確かに様々な摩擦は大きかった。失業率の高さもその表れだし、さらに所得格差の拡大も同様だ。そうしたコストを払って、今日の日本よりは元気にみえるマクロ経済を実現しているのではないだろうか。





欧米先進国はそういう経済なので、今回のようなエネルギー価格等の上昇といった外生的なインフレショックに遭遇すると、インフレ率は日本より足早に上昇していく。日本では、今年のベアはまだどうなるかはっきり分からないが、賃金は上がるものだというムードは決して確固たるものではない。そのため、賃金の上昇がサービス価格に反映され、さらに財の価格にまで及ぶという展開になるかどうかはなお不透明だ。





■ 長期金利に溜まっている上昇圧力









写真)欧州中央銀行(ECB)の会合で講演する日銀黒田東彦総裁 2017年11月14日 ドイツ・フランクフルト





出典)Photo by Hannelore Foerster/Getty Images





そうしたことから、まだまだ金融緩和の手は緩められないという日本銀行の判断になるのだが、それでも長期金利には目に見えない上昇圧力が溜まっている可能性がある。





 現在の日本銀行の金融緩和は、短期金利だけでなく、長期金利の水準も視野に入れたものだ。10年もの国債の流通利回りは、0.25%を超えないよう金融調節が行われている。





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