狭まる「プーチン包囲網」クーデターか暗殺か、戦争犯罪で被告席か
Japan In-depth / 2022年3月10日 15時54分
樫山幸夫(ジャーナリスト、元産経新聞論説委員長)
【まとめ】
・プーチン大統領をクーデター、暗殺で放逐すべきという強硬論が高まってきた。
・国際刑事裁判所による訴追が、より現実的だが、実際に裁くのは困難か。
・プーチンがロシア大統領にとどまっても、外遊すれば身柄を拘束される可能性がある。
プーチン包囲網がじわじわと狭まってきた。大統領を権力の座から排除しようと、イギリスの閣僚がロシア軍の将軍たちにクーデターを呼びかければ、アメリカの上院議員は、暗殺待望論を表明、物議をかもしている。
国際犯罪法廷の検察官はすでに戦争犯罪の容疑で捜査を開始している。ウクライナ侵攻の帰趨いかんにかかわらず、プーチン氏がロシア大統領にとどまるのは困難な状況になってきた。
■ 米上院議員「ロシアにブルータスは?」
ドキッとするような大胆な発言をしたのはリンゼイ・グラム米上院議員(共和党、サウスカロライナ州)。
氏は3月3日のFOXニュースのトークショー、ツイッターへの投稿で、「ロシアにはブルータス、シュタウフェンベルク大佐はいないのか。(侵攻を)終わらせる唯一の方法は、ロシアの誰かが、彼を引きずりおろすことだ」と呼びかけた。
https://twitter.com/LindseyGrahamSC/status/1499574209567199235
ブルータスはいうまでもなく、古代ローマの独裁者、シーザーを暗殺した人物。シュタウフェンベルク大佐は、1944年にヒトラーを時限爆弾で殺害しようとして軽傷を負わせ、銃殺されたドイツの将校だ。
「暗殺」という言葉こそ避けたが、これらの人物の名を挙げたうえで、「(プーチンを)引きずりおろせ」というのだから同じ意味であることは明らか。さっそく波紋を呼んだ。
▲写真 米国議会議事堂でブリンケン国務長官、オースティン米国国防長官らと協議するリンジー・グラハム上院議員。(2022年2月3日、ワシントンDC) 出典:Photo by Anna Moneymaker/Getty Images
ロシアのアントノフ駐米大使は、自国が罪もない市民を殺傷していることを棚に上げて、「道徳で手本となるべき上院議員がテロを呼びかけるのは信じがたい」と非難した。
ホワイトハウスのサキ報道官は、議会のこととはいえ関わり合いを避けようとしたのか、翌日の記者会見で、「外国指導者の殺害や政権交代を求めるのは米国の採る方針ではない」と述べ、本音は別として、米政府とは無関係の発言であることを強調した。
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