TBS「報道特集」ベラルーシ大統領単独インタビューが提起する問い
Japan In-depth / 2022年3月21日 11時0分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・TBS「報道特集」金平茂紀キャスターによるベラルーシルカシェンコ大統領の単独インタビューを放送。
・現地にキャスターを送り込み、取材を続ける同番組を評価。
・紛争地域に記者・キャスターを送らない日本のテレビ局は今後報道部門をどうしていくのか、考える時期にきている。
圧巻だった。久しぶりに日本の報道番組をみてそう思った。3月19日(土)放送のTBSテレビ(JNN)系列「報道特集」がそれだ。
ご存じのかたも多かろうが、2010年4月3日から、毎週土曜日17:30 ~18:50に生放送されているニュース・報道ドキュメンタリー番組である。そのルーツは、「JNN報道特集」(42年前の1980年10月4日から2008年3月30日まで放送)であり、「報道のTBS」の名をほしいままにしていた往事のDNAは今に引き継がれている。
さて、私が驚いたのは、金平茂紀キャスターによる、ベラルーシのルカシェンコ大統領の単独インタビューだ。ベラルーシといえば、ロシアの同盟国。今回のウクライナ侵攻で初めて認識した人も多かろうが、あの巨躯でプーチン大統領とツーショットで映っている映像を見れば、あああの人か、とわかるはずだ。
金平キャスターは今回早い段階から現地入りし、他局を圧倒していたが、今回のこのインタビューには驚かされた。と同時に、日本のテレビ局の報道に対する姿勢についても考えさせられた。
まず、今回のルカシェンコ大統領単独インタビューのどこを私が評価しているかを挙げよう。
第1に、西側メディアとして、ロシアのウクライナ侵攻後、初の同大統領インタビューだということだ。
金平キャスターを現地に派遣しただけでなく、プーチン大統領に次ぐ、キーマンであるルカシェンコ大統領が日本のテレビのインタビューを受けたことは画期的である。同大統領のインタビューにトライしようと思い、かつ、おそらくはかなり難しい交渉をベラルーシ政府側としたTBSスタッフに感服する。
第2に、金平キャスターの直球質問で数々の重要な発言をルカシェンコ大統領から引き出していることだ。
ベラルーシの今後の参戦について、ルカシェンコ大統領は、ロシアの軍事侵攻を支持しないとした上で、「ウクライナがベラルーシに対して軍備の拡大を続けるなら我々はそれに対応する」と明言した。
また、「もしゼレンスキーが(ロシアの)提案に応じなければ、彼は近いうちに『降伏文書』に署名しなければならないでしょう」と述べた。ほとんどプーチン大統領の代弁をしているかのようだが、ルカシェンコ大統領とプーチン大統領の近しさが明確になった瞬間だった。
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