独裁者の計算と誤算(下)「プーチンの戦争」をめぐって その2
Japan In-depth / 2022年3月23日 7時0分
しかし現実の制裁は、SWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの金融機関を閉め出す、というものだったのである。金融機関に対する制裁としては「核爆弾並み」とまで言われる厳しい処置で、具体的にどういうことかと言うと、前述の外貨準備6300億ドルのうち、3000億ドル以上は欧米や日本の銀行に分散して預金されていたのだが、これを引き出すことができなくなってしまった。そればかりか、輸出入の決済を外貨で行うことができなくなってしまったのである。
ちなみに我が国の外貨準備高は1兆3846億ドル(2020年)で、中国に次いで世界2位だが、これは「輸出立国」として獲得した外貨が積み上がったものだから、封鎖されたらひとたまりもない。ましてGDPが韓国並みでしかないロシアが、デフォルト(債務不履行)とハイパー・インフレーションの危機にあることは間違いない。いつそのような状態に陥るかは早計に予測しがたいが、いずれにせよ時間の問題であろう。
ただし「逆もまた真なり」という言葉を忘れてはいけない。今日の明日で経済制裁の効果が出るわけでもなく、その前に破滅的な事態に至らないという保証はないのだ。
この原稿を書いている3月21日の時点で、戦線はほぼ全面的に膠着し、プーチン大統領も、ゼレンスキー大統領との直接交渉に前向きの姿勢を示しているとの報道もあった。
そろそろ侵攻の失敗を認めたのであればよいが、未だ「あと一撃」という考えに固執して、戦時体制を再構築するための時間稼ぎだとすれば、事態はさらに混迷するだけだ。
そうならないためにも、我々日本人に、なにかできることはないものだろうか。
これについては、次回。
(上はこちら。その3につづく)
トップ写真:年次記者会見を開くウラジーミル・プーチン(2021年12月23日) 出典:Photo by Mikhail Svetlov/Getty Images
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ロシア軍が核弾頭の搭載も可能な「ICBM」発射か…情報が錯綜、米製長距離ミサイル攻撃に対抗と威嚇の狙いも
日テレNEWS NNN / 2024年11月22日 1時4分
-
ウクライナが米国製ミサイルをロシア領内に発射 プーチン大統領は〝変化球〟で反撃か
東スポWEB / 2024年11月21日 6時4分
-
なぜプーチンは長期政権を維持できるのか...意外にも、ロシア国内で人気が落ちない「3つの理由」
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月15日 13時57分
-
ロシア軍の装甲車が「木っ端みじん」に 対戦車ミサイルが直撃する緊迫の映像をウクライナが公開
乗りものニュース / 2024年11月7日 11時42分
-
プーチン×金正恩でタッグ…ロシアが北朝鮮兵の受け入れ「プロジェクト・ボストーク」の勝算
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月2日 9時26分
ランキング
-
1八戸5歳女児死亡の初公判、検察側「母親らは一日一食しか与えず隠れて食べていた女児に暴行」
読売新聞 / 2024年11月26日 15時45分
-
2【速報】共同通信の社長が外務省に謝罪 生稲晃子外務政務官の靖国参拝めぐる誤報問題で
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月26日 19時51分
-
3求人サイトで公募した市長後継候補、原因不明の急病で辞退…あす現市長が記者会見
読売新聞 / 2024年11月26日 16時1分
-
4コロナ新しい変異株「XEC株」はどんなウイルスか 「冬の対策とワクチン接種の是非」を医師が解説
東洋経済オンライン / 2024年11月26日 9時0分
-
5石川県西方沖でM6.6の地震 最大震度5弱 津波被害の心配なし
ウェザーニュース / 2024年11月26日 22時47分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください