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北朝鮮に虚を突かれたバイデン政権

Japan In-depth / 2022年3月31日 13時17分

ロギン氏はバイデン政権の北朝鮮問題への認識が「努力の成果が望めない、最も忌避する課題とみなしている」として、「過去1年間の北朝鮮無視は危険だ」と警告していた。


トランプ前政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務め、北朝鮮との交渉にも関与したジョン・ボルトン氏も1月中旬、「北朝鮮はなぜ静かなのか」と題する論文で「バイデン政権は北朝鮮の完全非核化を断固として実現するという意志に欠けている」と批判した。


ボルトン氏は北朝鮮がアメリカへの直接の脅威となる核兵器や長距離ミサイルの実験をしていないのは表面だけの静けさに過ぎないと、警告していた。そのうえで、アメリカが北朝鮮の核保有をあくまで防ぎたいならば、北の政権交代、政権転覆、正面からの軍事作戦など強制的な手段による強硬策を除外することはできない、と主張した。


その後、2月から3月にかけてはロシアのウクライナ侵攻でバイデン政権の対外注視はロシアの動向とウクライナの戦況に集中的にしぼられる展開となった。だが日本を含めてのインド太平洋地域では北朝鮮の核武装への動きは重大な懸念対象なのである。


トランプ、バイデン両政権の北朝鮮への姿勢の最大の違いはトランプ大統領が最悪の事態を想定しての軍事手段のオプション(選択肢)を常に示していた点だった。


実際にトランプ政権時代には北朝鮮への対処に関して政権内外で軍事奇襲や電磁波攻撃、サイバー攻撃などが常に論じられていた。トランプ大統領自身が「怒りと炎」という表現で武力攻撃の可能性を堂々と語った。金正恩委員長は明らかに威圧を感じて、アメリカとの会談の開催を請い願った。


だがバイデン政権では軍事オプションはぴたりと言及がなくなった。バイデン大統領自身も北朝鮮との「対話」をひたすら求めるのだ。金正恩委員長は逆に余裕をみせるようにその求めを無視するようになった。その末の今回の突然のICBM発射だったのである。


バイデン政権は当然、北朝鮮への新たな取り組みを迫られることとなったのだ。


トップ写真:英バイデン大統領がアメリカで演説(2022年3月30日 アメリカ・ワシントン.D.C)


出典:Photo by Anna Moneymaker/Getty Images


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