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最後は中国カードもあり得る「プーチンの戦争」をめぐって 最終回

Japan In-depth / 2022年4月1日 11時0分

30日にはロシアのラブロフ外相が侵攻開始後初めて訪中し、中国の王毅外相と会談した。そして王毅外相は、ロシアのメディアに対し、





「米国などがロシアに対して行っている制裁は逆効果である」





などとコメントし、両国は「蜜月」をアピールした。





保守派の論客たちからは、それ見たことか、といった声が聞こえてきそうだがこの点についても、やはりまずは、どうしてこの時期に中ロの蜜月を大々的にアピールする必要があったのか、という点だが、これは色々な解釈が可能で、人の心の中までは分からないのだが、ロシアの焦りの表れではないだろうか。別の言い方をすれば、経済制裁でロシアを締め上げ、ロシアに肩入れするなら同罪だと中国にも圧力をかけたバイデン大統領の戦略が、功を奏しつつあるのではないだろうか。





そもそも蜜月などと言うが、多分に「ロシアの片思い」であるという側面を見落とすべきではない。具体的に述べると、ロシアにとって中国は今や最大の貿易相手国だが、中国にとってロシアとの貿易は、GDPの2%程度を占めているに過ぎない。





さらに言えば、経済制裁によってロシアが通貨危機に陥った際、中国はルーブル建ての支払い枠を拡大した。早い話が中国製品を求めるロシアの消費者は、今まで以上に多額のルーブルを支払う必要に迫られ、通貨の下落に拍車をかけたのである。





蜜月アピールはロシアの焦りの表れではないか、と私が見たのも、こうしたデータを見ていたからに他ならない。それともロシア人たちは、4000年来の商売人が損得抜きで自分たちを助けてくれると信じ込むほどにお人好しなのか。





ではなぜ、私が保守派の論客たちにも一定の理解を示したのか。





「プーチンの戦争」を止める最後の手段として、中国を担ぎ出すしかない、と判断したとしよう。その場合、中国は欧米による「貿易戦争」についても停戦するよう求めるだろうし、その結果、香港やウイグルの人権問題が後景化してしまうというリスクは、確かにある。





それが、この問題の難しいところで、ウクライナの人々を戦火から救うためにウイグルの人たちが犠牲になってよいものではないし、その逆もまた然り、である。





ただ、前述のように中国人は商売人であるから、希望的観測かもしれないが、人権問題で経済活動の足をこれ以上引っ張られるのはご免だ、という判断をする可能性は十分あると思えるし、今次のロシアが置かれた状況を見て、武力で現状を変えようとする試みは決して成功しない、という教訓を得たのではないだろうか。





私はどこかの弁護士と違って、欧米の政治家に提言する立場ではないことくらい自覚している。ただ、犠牲がこれ以上拡大する前に戦争を終結させて欲しいと願う心は人後に落ちないつもりなので、自分が信じるところを粘り強く発信し続けたいと思うのみだ。





(その1、その2、その3、その4、その5、その6。全7回)





トップ写真:アンタルヤ外交フォーラムで演説を行うトルコのエルドアン大統領(2022年3月11日) 出典:Photo by Ozan Guzelce/ dia images via Getty Images




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