日本経済を元気にする経済政策 今こそ議論すべきではないか?
Japan In-depth / 2022年4月4日 14時4分
その上、今回のロシアによるウクライナ侵攻によって、グローバルなサプライチェーン分断はますますはっきりしてきている。経済活動の効率化を最優先に大幅なコスト引き下げを実現してきたこれまでのグローバル化が変節点に差し掛かっている。これも供給を抑制する要因となる。
このように、コロナ禍の下で抑制されていた需要がいよいよ解放されようとしているのに対し、供給側では様々な構造的な要因が作用し、需要と供給のギャップが速やかには解消しない。これが欧米諸国でインフレ圧力を生んでいる。
写真)ショッピング街で買い物をする人たち(2022年3月31日 米・サンフランシスコ)
出典)Photo by Justin Sullivan/Getty Images
■ 日本のインフレ圧力
他方、日本では、需要の戻りは欧米先進国に比べて弱そうだ。国内の需要と供給のギャップにおいても、元々、供給圧力が強かった面がある。したがって、欧米ほどにインフレ圧力は高まっていない。
インフレ率が実際に上昇し、それが賃金上昇に反映され、さらにそれがサービス料金などに反映されるという循環が始まると、インフレには弾みが着く。
先般、米国で利上げが行われ、2020年以来のゼロ金利が解除されたが、これも40年振りと言われる高いインフレの下で、そのような弾みを挫くためのアクションと言える。日本ではまだまだそうした状況には至っていない。
しかし、全く用心する必要がないかというと、そういうことでもない。大方の情勢判断は、携帯料金の引き下げの裏が出るといった特殊要因もあり、日本銀行が目標としている2%の消費者物価上昇率が一時的には実現するかもしれないが、それは長続きしないというものだ。
しかし、上述のグローバル経済の供給面の構造的な変化の影響は日本経済にも波及する。その上、欧米が金融引き締め方向にある中で、日本の政策金利は動かないため、内外の金利差が開き、円安が進んでいる。それらが相俟って、インフレ圧力がじわじわ強まる可能性も否定はできない。
今般、利上げに踏み切った米国でも、昨年の秋口までは、インフレ圧力の高まりは一時的と言われていた。それが、半年の間で情勢判断は全く変わってしまった。日本は例外と安心ばかりもしていられないだろう。
■ 日本を元気にする経済政策
以上のようなインフレ対応のための金融政策は別にしても、日本の経済政策には、どうすれば経済を元気にできるかという宿題が残っている。
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