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日本経済を元気にする経済政策 今こそ議論すべきではないか?

Japan In-depth / 2022年4月4日 14時4分

これまでの金融・財政政策は、金利を引き下げ、財政支出を拡大し、需要を刺激すれば、経済成長率が構造的にもっと高まるはずだという考え方で運営されてきたと言ってよい。しかし、2010年代のアベノミクスの時代を振り返っても、そういう金融・財政政策で、はっきりと日本経済の実力としての成長力が高まったとは言えない。日本経済に十分元気が戻ったようにも感じられない。


インフレ率がほぼ横這いの下で、企業が設備投資を考える標準的な期間である3〜5年の国債利回りはほぼゼロとなった。企業によって信用度の違いがあるので、実際に企業が資金を調達する際の実質金利はゼロではないが、基準がゼロなのだから、どの企業も歴史的に下限の実質金利で資金調達できていることになる。


しかし、長く企業を存続させようとする経営者にとって、一定以下の実質リターンしか生まないプロジェクトを実行することには抵抗があるはずだ。低リターンの下では、賃金も資金供給者に対する利払い・配当も抑制せざるを得ない。自らのビジネスが将来も成功していくという展望がなければ、従業員が気合を揃えて前向き活動することも難しい。


また、これまでの財政赤字は、基本的に年金、医療、介護などの社会保障制度の歳入と歳出がバランスしない、つまり制度的に歳入不足であることを主因に拡大してきた。もちろん、良い社会保障制度は国民にとって非常にありがたいものだ。しかし、そこに国費を集中的に投入することで、日本経済の成長率を高めることがどこまでできるだろうか。そもそも社会保障関係のサービスの供給は、基本的に規制分野で行われており、創造的なイノベーションがどんどん生まれるような仕組みにはなっていない。


これまで、デフレが日本経済不調の主たる原因だという、ある意味とても分かり易い整理の下で、需要の刺激に経済政策の焦点が当てられてきた。しかし、振り返れば、それでは十分うまくはいかなかったこともまた事実だ。


日本を取り巻くグローバルな環境が大きく変わろうとしている今、金融・財政の両面で、コロナ禍後の日本経済に本当に元気を取り戻す政策とは一体どういうものか、改めて議論することにも意味があるのではないか。


今日、AI、DX、グリーン化といったキーワードで経済の将来が語られない日はない。そうであれば、明日の日本経済の青写真もラフには描けそうな気がする。そういう意味の産業政策も重要だろう。そうした図面に沿って、日本経済を元気にする金融・財政政策のあり方を考えることはできないだろうか。


トップ写真)イメージ


出典)Photo by Takashi Aoyama/Getty Images


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