朝日新聞は自国の防衛を否定するのか
Japan In-depth / 2022年4月6日 23時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・個々の国家、人間には侵略に対して抵抗する権利があり、主権国家には国民を守るために自衛をする責務がある。
・侵略行為に対して武力で対抗することはごく当然な行為であり、賞賛されることはあっても、「人殺し」と否定されることはない。
・抵抗せずに「戦争を終わらせる」ことは侵略を許すことになり、武力を使う覚悟で行動する側が全ての目標を達することになってしまう。
ウクライナ国民がロシアの侵略に対して戦うことは「人殺し」だから止めろーー朝日新聞のこんな主張に改めて呆れはてた。この主張では日本が侵略を受けても日本の国家や国民は自国の領土や住民を守るために戦ってはいけない、ということになる。
国際的な平和や一国の安定が外部から崩されたときに、その回復のための「空軍、海軍または陸軍」の兵力使用は国連憲章も明確に認めている。だが朝日新聞はその平和のための兵力の使用も「人殺し」だからよくない、というのだ。なぜなのだろうか。
この主張に従えば、ナチス・ドイツに侵略された欧州諸国もすべてヒトラーの支配下に入ったままになってしまったことになる。だからウクライナの現状ではウクライナの国家も国民もロシアのプーチン大統領の支配下に入れと命令することにも等しくなる。主権国家が侵略に対して自国の主権や領土、国民を守ってはならない、というのだからだ。
こんな朝日新聞の主張は3月29日朝刊の一面コラム「天声人語」に明記されていた。「天声人語」といえば、朝日新聞が長年、看板としてきたコラムである。そこの記述は朝日新聞全体のそのときの思考や主張を反映しているとみてよいだろう。
この日のコラムは桜の開花にまず触れて、桜が日本軍の特攻隊の呼称に使われたことを批判的に述べ、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領による日本の国会への演説を取り上げていた。3月23日の演説である。
▲写真 ゼレンスキー・ウクライナ大統領の演説後拍手する岸田総理。右手前が山東昭子参院議長。 出典:首相官邸
そして「天声人語」は以下のように書いていた。
《▼桜の季節だからというわけではないが、山東昭子参院議長の発言に強いひっかかりを覚えた。ウクライナ大統領の国会演説の後にこう述べたのだ。「貴国の人々が命をも顧みず、祖国のために戦っている姿を拝見して、その勇気に感動しております」》
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