朝日新聞は自国の防衛を否定するのか
Japan In-depth / 2022年4月6日 23時0分
だが朝日新聞は相手がいかに不当であっても、その要求には抵抗してはいけない、と主張するのだ。なぜなら侵略される側の生存のため、自己保護のための抵抗も「人殺し」だからだという。その抵抗を止めれば、最初に武力を使った側が全面勝利してしまうのである。
やや飛躍ではあるが、以上の想定を実際の歴史に当てはめてみよう。第二次世界大戦はナチス・ドイツの領土拡張の軍事行動で始まった。1939年のポーランド侵攻だった。イギリスやフランスはこの侵略に対抗して宣戦を布告した。朝日新聞のゆがんだ思考に従えば、このドイツの行動も、イギリスやフランスの行動もともに「人殺し」となる。
そこで朝日新聞がウクライナに求めるように、イギリスやフランスが「人殺しを止めるために」抵抗を止めたら、どうなったか。ナチス・ドイツの全面勝利、そしてヒトラーによるヨーロッパの征服ということになってしまっただろう。
もっと身近な次元で考えても、朝日新聞の思考の非現実性は明白となる。警察が法を破った凶悪な犯罪者の逮捕のために、実力を行使する、あるいは拳銃を使う。この法執行の行為も「人殺し」となるだろう。
朝日新聞は人間がいかに不当な攻撃を受けても、その結果、生命の危険に面しても、一切の物理的な力での防衛はしてはならない、と主張しているのだ。その不当な攻撃を仕掛けた相手に降伏すればよい、ともいうのだ。そうすれば「人殺し」が避けられる、というわけである。
だがそんな理屈を受け入れれば、この世界では武力を使う覚悟で行動する側がすべての目的を達することになってしまう。個人の生存権という基本さえも否定してしまう。まして日本の防衛という国家としての必須の責務も完全に否定されてしまうわけである。
トップ写真:ゼレンスキー・ウクライナ大統領の演説 出典:首相官邸
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