1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

愛菜よ、死ぬな! 方言とソウルフードについて その1

Japan In-depth / 2022年4月18日 13時10分

 ともあれ私と同じ昭和世代のジモティに、どのくらいの頻度でうどんを食するものなのかと尋ねたところ、


「ほとんど毎日。多いときは1日2回」


 という答えが返ってきた。さらには、前述のうどん屋とマクドナルドの話も、


「それも全盛期の話ではないでしょう。全盛期には、香川県では交通信号よりうどん屋の数の方が多い、とまで言われたくらいですから」


 と教えられた。知識とお金はいくらあっても邪魔にならない、というのが私の座右の銘なのだが、こんな知識が一体なんの役に立つのかは分からない……などと言いつつネタにしているわけだが。


 映画つながりでさらに言えば、以前この連載でも紹介した『青春デンデケデケデケ』(1992年公開・大林宣彦監督)も香川県の観音寺市が舞台。時は1960年代、ベンチャーズに感化されてロックバンドを立ち上げた高校生たちの物語だが、なんと毎回うどん屋でミーティングをしていた。


 あれはおそらく、マクドナルドもファミレスもなかったからだろう、くらいに考えていたのだが、どうやらそこまで単純な話でもなかったようだ。考えてみれば自宅や学校内でもミーティングはできるわけで。


 香川県人にとって、うどんこそソウルフードなので、うかつに


「うどんがなければラーメン食べればいいのに」


 などと口走ろうものなら、ヒンシュクを買うどころか、最期は断頭台かも知れないのだ笑。


 私自身はと言うと、麺類ならなんでもいけるので、それゆえ若い頃からイケメン作家と呼ばれていた……というのは嘘だが、無論うどんも嫌いではない。


 しかし、うどん県に住んだからと言って、それほど足繁くうどん屋通いをすることもなかった。


 理由は単一ではないのだが、ひとつには「意外に高い」ということがある。


 東京のうどん屋チェーンでは通常「小」が1玉で「中」は1.5玉、そして「大」が2玉だが、うどん県ではそれぞれ1玉、2玉、3玉となる。私はいつも大を注文するので、よく


「3玉ですが、よろしいですか」


 と店の人に聞かれたものだが、これは余談。


なにも入っていないかけうどんでも、大は400円くらいする。天ぷらを2個くらい追加すると600円以上。これなら牛丼の大盛りを食べた方が安くて満足度も高い。


それ以上に、香川県のうどん屋には、致命的な欠陥があった。大半の店が午後3時くらいに閉店してしまうのである。


開店時間はまちまちだが、朝6時に開く店も少なくない。つまり、ジモティが1日2回食べることもあるというのは、朝・昼食をうどんで済ませるということなのだろう。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください