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「国際連合大学」の怪

Japan In-depth / 2022年4月21日 23時55分

「国際連合大学」の怪




古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)





「古森義久の内外透視」





【まとめ】





・日本には「国連と世界の学術社会の架け橋」を目標とする国際連合大学という機関が存在する。





・国連は国連大学の設立にも運営にも資金を出しておらず、財政の基盤は日本が独自に負担してきた。





・国連合同監察団によっても「適切さ」について指摘されており、根本的な見直しが求められる。





 





ウクライナ戦争で国連の無力さが世界的に印象づけられた。国連の事務総長らがロシアの侵略行動を非難し、停戦や和平を呼びかけても、すべて言葉だけ、実際の効果のある行動をともなわない。こんな事態は日本国内に根強い国連への非現実的な期待を是正するための好機となろう。





それにしても日本でのこれまでの国連への信仰はひどかった。すでにこのコラムで紹介したように日本では最高の知性とされたような学者や政治指導者たちが本気で日本の安全保障は日本自身ではなく、国連の部隊にすべて任せるべきだと主張していたのだ。国連にそんな機能も実力もないことは、すでにいやというほど実証されてきたのに、である。





日本でのその種の国連信仰のシンボルは東京都渋谷区にある国際連合大学だといえよう。青山通りに面するこの威風堂々のビルを占める国連大学は「大学」と称しながら、一般の大学の機能は果たしていない。そもそもその日本での開設の経緯が異常だった。そのあたりに改めて光をあてて報告しよう。これもまた国連という存在への日本独特のゆがんだ認識を正そうという目的からである。   





日本国内で国連を感じさせる存在といえば、まず第一はこの国際連合大学であろう。青山通りに面した地上14階の豪華なビルは人目を引くが、内部にある国連大学の実態について知る日本国民は少ない。





国連大学というのは奇怪な機関である。大学であって、大学ではない。一般の意味の大学に不可欠な学生も教授もキャンパスも存在しないからだ。そうした指摘に答える形で国連大学は開設から30年ほども過ぎた時点でみずからを大学院として位置づけ、修士号の授与資格を得たと発表した。また大学院の学生数人を開発途上国などから入学させたとも発表している。だがその大学院としての教育の実態はまったく不透明のままである。





国連大学はさらに国連であって、国連でないとさえいえる特徴を有する。公式には国連総会の付属機関とされるが、国連は設立にも運営にも資金を出しておらず、財政の基盤は日本が独自に負担してきたからだ。





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