国産防弾装備を盲信する岸防衛大臣の見識 その1
Japan In-depth / 2022年4月22日 12時57分
折角実戦のデータを取る機会ができたのに、自衛隊装備には完璧である、だから「人体実験」による実戦データは必要ないというのは軍事常識の欠如であり、ナイーブ過ぎる。また実戦データに基づいて、改良がなされれば自衛隊が実戦に置いて死傷者を減らすことができる機会を自ら奪った。換言すれば、自衛官の命を軽視しているということになる。我が国の国防を預かる防衛大臣の見識としては極めて大きな問題がある。
過去に多くの実戦を戦ってきた米軍でも新しい装備を実戦に投入して初めてその欠点を知ることもある。実際にアフガニスタンの戦争では防弾チョッキの隙間から肺に銃弾が入るケースが多く、これは後に改良された。
英軍が採用した新型個人装備では股関節周りを覆うプロテクターが装備された。これはアフガニスタンやイラクでの戦闘では防弾チョッキの普及により、敵の狙撃手がチョッキで防御されていなく、太い血管が多い股関節周りを狙うことが増えたこと、また地雷やIEDによる被害が多く、これに対処するものだ。個人用の防弾装備はこのように実戦を経験して改良がなされて進化している。
写真)英陸軍が採用した股間まわり防衛用プロテクター
提供)清谷信一氏
また米国や南アフリカなどでは国内の犯罪でも自動小銃等が使用される事が多いので、メーカーはその事例を研究して製品に活かすが、これも我が国では不可能なことだ。そうであれば尚更実戦のデータの重要性は高い。
今回のウクライナへの防弾装備供与は、またとない実戦のデータを取れるチャンスである。
供与された装備がどのように使用され、実際にどのような形で被弾し、その時の損害はどうだったか。防衛装備庁や陸自の開発実験団、戦闘外傷の専門家の医官などからなるチームを派遣して現地調査を行うべきだ。
先述のように、我が国は戦争の経験もなく、国内での銃器犯罪も少ない。実戦データを得る機会はまずない。果たしてそれで実戦に耐えられる装備が開発できるかは疑うべきだろう。実際陸自のイラク派遣では、急遽米国製の防弾チョッキ、装甲車や小火器にして「実戦」に備えて多くの改良がなされた。つまり自衛隊の装備は実戦では使えない、ということだ。岸大臣はこの事実をどう考えるだろうか。
しかも開発に関わっていた元隊員によれば改良された防弾チョッキのプレートの防弾性が低く、小銃でブスブスと抜けて、担当者がメーカーに抗議すると「何で銃で撃つんですか!」と抗議されたという。まるでコントである。実際に被弾すれば戦死確実だ。
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