国産防弾装備を盲信する岸防衛大臣の見識 その1
Japan In-depth / 2022年4月22日 12時57分
そして防弾装備の寡占も問題だ。帝人は防弾用アラミド繊維では世界第二位で、広く防弾素材を米軍含めて世界のマーケットに提供しているが、自衛隊の防弾市場には参入できていない。このような既存防衛産業の既得権益を優先する態度も問題だ。これでは技術革新はできないし、防衛産業に新規参入する企業も出て来ない。
写真)帝人の防弾繊維を使ったヘルメットのカッタウェイ。左がアラミド系繊維を用いたヘルメット、右がポリエチレン系の繊維を用いたヘルメット
提供)清谷信一氏
3月14日、吉田圭秀陸上幕僚長に会見で質問して明らかになったのはウクライナに供与された防弾チョッキは現用の防弾チョッキ3型ではなく、その改良型である「防弾チョッキ3型改」であることが判明した。
諸外国で導入されている防弾チョッキやプレート・キャリアー(編集部注:防弾プレートを入れることで体の重要な部位を守ることができるベスト)の両脇のプレートが装備されている。これは車輌搭乗時等の銃撃に備えるためのものだ。防弾チョッキ3型にはこのサイドプレートも用意されていない。「防弾チョッキ3型改」ではこのサイドプレートが増加されている。その他、肩や腕、股間部分にもプレートが増加されている。この点では進歩は認められる。
だが実用性で問題はないのか。たしかに防弾性能は向上しているが、その分重量は重たくなり、隊員の負担がふえることになる。拠点防御や車輌搭乗員はまだしも、下車戦闘をする普通科隊員には合致した装備ではない。むしろ後述するプレート・キャリアを装備するべきだった。
(その2に続く。全2回)
写真)防衛大臣会見での岸防衛大臣
提供)清谷信一氏氏
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