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国産防弾装備を盲信する岸防衛大臣の見識 その2

Japan In-depth / 2022年4月23日 11時0分

 筆者は昨年、防衛大臣会見で岸大臣に防弾チョッキ3型のレプリカと、プレート・キャリアを持ち込んで、後者が陸自では未導入であり、両者の違いを説明して質問したが、その後会見室に筆記用具とラップトップ以外の持ち込みが大臣に意向で禁じられた。現物を突きつけられて「不都合な真実」の指摘を受けたくなかったのだろう。


 当然というべきか、プレート・キャリアと組み合わせる通気性の高いコンバットシャツも導入されていない。これは腕や襟は迷彩のカモフラージュの難燃性繊維などが使用されているが、胴体部分は兵士の疲労低減のために、防燃性、吸湿速乾性繊維を使用している。これまた途上国ですらすでに導入している国が多いが、高温多湿の我が国の陸自では採用されていない。









写真)ロシア軍のミサイル攻撃で破壊された街中を歩くウクライナ軍兵士 (2022/04/16)ウクライナ・ハリコフ


出典)Photo by Chris McGrath/Getty Images


 更に申せば難燃性の下着も支給されていない。隊員の中は、市販の高機能素材の下着を着ているケースがあるようだが、これらは熱で融解するので戦闘時にやけどを負ったときに、溶けて肌に張り付く恐れがあり、やけどによる被害をより大きくしかねない。対して軍用の難燃性下着は燃えると炭化してぼろぼろになるのでそのような被害が生じにくい。


 衛生の面からも、陸自が実戦を想定していないことが分かる。個人衛生キットも粗末だった。筆者は2015年から陸自の衛生キットの不備を問題にしてきた。当時衛生キットは包帯、止血帯各1個がポーチに入っているだけだった(PKO用は8アイテム)。対して米軍のものは18アイテムだ(止血帯ポーチx2個含めると20アイテム)。当時君塚陸幕長の時代だったが陸幕は「我が国は病院が多くあるからこれでいい」と主張していた。止血できずに死んだ隊員を病院に運んでも生き返らない。その後岩田幕僚長、中谷防衛大臣の時代に会見で質したときは、お二方とも陸自のキットは米国のそれに匹敵すると会見で述べたが、事実ではなかった。単に衛生部の主張を鵜呑みにしただけだった。









写真)米陸軍のIFAK Ⅱ(個人用救急医療キット)


提供)清谷信一氏


 このようなことは防衛省の防衛省・自衛隊の第一線救護における的確な救命に関する検討会」の座長だった佐々木勝都立広尾病院院長(当時)も「あまりにお粗末な自衛隊の医療体制」という論文を「月刊WILL」に発表し、陸自の衛生の現状を以下のように手厳しく批判した。


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