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食べてよいもの、いけないもの(上)方言とソウルフードについて その2

Japan In-depth / 2022年4月23日 18時0分

それでも念のためということがあるので、以前にも紹介させていただいた若林博士に、この話は本当でしょうか、と質問したところ、





「それは典型的な後づけの理屈でしょうね」





と一笑に付されてしまった。





言われてみれば、キリスト教にせよ似たような気候風土の土地(パレスチナ)で生まれた宗教だが豚肉を禁忌としてなどいない。





若林博士はまた、続けてこうも言った。





「宗教的タブーなんて、要は神様がこう言っているのだ、という以上のものではないですよ」





とのことで、そこに科学的根拠を見いだそうとすれば、必ず反論にさらされるから、というのがその根拠なのだとか。具体的には、虫がつくから食べちゃいけません、と言うと、だったら焼けばよい、となる。





ユダヤ教徒のタブーには、





「親子の関係にあるものを同じ日に食べてはいけない」





というのもあるそうだ。親子丼はおいしいのになあ、という話ではなくて、牛肉の料理を食べたなら、食後のコーヒーにミルクを入れてはいけない。





最高級の牛肉は、子供を産んだことのない雌牛のものとされ、逆に安い肉は去勢された雄牛のものが多いのであるから、牛肉と牛乳を親子の関係と見なすのは無理があるようにも思うのだが、これは不信心者が言うことであるに違いない。





牛肉と言えば、ヒンズー教では禁忌とされていることは、これまた日本でも知られている。





2009年に、こんな経験をした。





インドネシアのバリ島で少林寺拳法の演武披露会(世界大会の予定だったが、直前にイスラム過激派の爆弾テロがあったため、自主参加の演武披露会に変更となった)が開かれたのだが、観客席で隣り合わせた日本人女性が、





「主人はバリ・ヒンズー(の信者)なので、結婚した当初は牛肉食べなかったのですけど、今では子供とマクドナルドに行くのが大好きなんですよ」





と語ってくれたのだ。すると、小学校高学年くらいに見える男の子が、





「どうして牛肉食べちゃいけないの?」





と私に質問してきた。





「ヒンズー教のシバという神様が、牛の背中に乗って天から降りてくることになってるから、牛を殺して食べたりすると神様が怒ってバチくれるんだね」





と教えてあげたのだが、聞かされた方は無言のまま、下の前歯と下唇を突き出した「変顔」をしただけであった。





たとえヒンズー教徒の父親を持とうとも、平成生まれの子供にとって、マクドナルドはある意味ソウルフードだからな、とも思った。





その話題はひとまず置いて、このあたりでソウルフードのなんたるかを、きちんと定義しておかないと、話を先に進めるのが難しくなる。





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