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食べてよいもの、いけないもの(下)方言とソウルフードについて その3

Japan In-depth / 2022年4月24日 11時26分

文明開化の副産物ということで言えば、私見ながら、思想としての菜食主義が日本に伝えられたことに、もっと注目してよいのではあるまいか。





菜食主義の歴史は古い。





紀元前6世紀、古代ギリシャの哲学者・数学者であったピタゴラスは、自ら獣肉色を忌避する教団を組織したほどであるし、さかのぼれば紀元前7世紀のインダス文明においても、菜食主義者たちの存在が記録されている。





しかしながら5世紀以降、思想史上の菜食主義は、インド亜大陸以外では事実上途絶えたとされる。その理由は、キリスト教がとりたてて獣肉色をタブー視しなかったためである。





その後、ルネッサンス期に徐々に復権し、18世紀後半から世界的に盛り上がりを見せはじめた。これは主として医学的な見地からのもので、高カロリー・高タンパクの肉食を忌むべきものと考える人が増えた結果であるらしい。





明治維新(1868年)の少し前ということになるが、1847年には英国においてベジタリアン・ソサエティが設立されている。ただ、彼らも乳製品は口にしていたようだ。動物性の食品を一切拒否するヴィーガンが台頭するのは第二次世界大戦後のことだ。





物事は好き好きだという前提で、個人的な思いを少しだけかたらあせていただくと、私は菜食主義やヴィーガンに与する考えはない。









▲写真 Beyond Burgersが提供する、ビーガンベジーバーガー ドイツ・ベルリン(2019年5月18日) 出典:Photo by Adam Berry/Getty Images





私は金剛禅総本山少林寺の僧籍にあるが、仏教本来の考えに照らせば、植物にも命が宿っており、他の命をいただいて自らの命をつなぐのが自然界の実相なのだ。





だから、私は1杯のラーメンを食べる時でも、静かに「いただきます」と言ってそっと合掌するが、動物を殺して食べるのは罪悪だとか、鯨は頭の良い動物だから食べるべきではないだとかいう主張に耳を貸す気はないのである。





トップ写真:ステーキハウスで神戸ビーフを食す(2017年1月18日) 出典:Photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images




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