ウクライナ支援、どうする大使館再開、首脳訪問
Japan In-depth / 2022年5月18日 23時0分
5月の大型連休中に岸田首相がイタリア、イギリスを、林外相が5月中旬、G7外相会議出席のため、ドイツを訪問したが、この間に、ウクライナに足を延ばし、〝電撃訪問〟することはなかった。
先方との都合もあるので安易な批判は禁物とはいえ、日程協議を行ったが調整がつかず見送ったというならやむをえないが、先方と折衝したのかなどの経緯は明らかではない。
東京からあらためて政府高官が出かけるとなると日程調整はさらに困難になる。
それだけに、岸田訪欧、林訪独というチャンスを逃したのは惜しいというべきだろう。
自民党の佐藤正久外交部会長は5月10日の党会合で、「目に見える外交、現場感覚も大事だ」と強調、大使館再開、要人派遣を求めた。同様の要求が与野党から高まり、明確さを欠く政府への批判に転じる可能性もある。
写真)2022年5月13日にドイツのホルスタインで行われたG7外相会合にて林芳正外務大臣がイタリアのルイージ・ディ・マティオ外務大臣と話しながら歩く様子。
(出典:Photo by Georg Wendt - Pool/Getty Images)
■「サハリン2」出資続けるのか
大使館再開、高官派遣は決断次第で実現可能だが、今後の対露制裁、ウクライナの支援強化ではさらに難問が待ち構えている。
大きいのはエネルギー禁輸問題をどうするかだ。
G7首脳は日本時間5月9日のオンライン会合で、ロシアからの石油輸入停止など制裁強化を決めた。岸田首相は「日本としては大変苦しい決断だが、G7の結束が何よりも重要だ」と苦渋の表情で同調を表明した。
首相は、日本の官民が出資するエネルギー開発事業、「サハリン1」「サハリン2」からの撤退それ自体は否定した。しかし、輸入は止めるが出資は継続ーという中途半端なことが可能か。
欧米の石油メジャー各社は完全撤退を決めるなど方針を転換しはじめている。
イギリスのシェルはロシアの侵略開始からわずか4日後の2月28日にはやくも、27・5%出資の「サハリン2」から撤退すると発表した。
やはりイギリスのBPはすでにその前日、ロシアの国営エネルギー会社ロスネフチの株式をすべて処分、ロシアでの事業からの撤退方針を発表。損失は最大、250億ドル(約3兆円)に上る可能性があるという。
いずれも巨額の損失覚悟の思い切った決断だった。
「サハリン1」から撤退しても、石油の依存度が4%にとどまっていること考えれば、出血は少ないかもしれない。
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