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ウクライナ支援、どうする大使館再開、首脳訪問

Japan In-depth / 2022年5月18日 23時0分

 しかし、天然ガス中心の「サハリン2」となると事態は深刻だ。


 年間1000万㌧の液化天然ガス(LNG)を生産、日本の依存度が9%にのぼるため、供給が絶たれれば国内のガス、電力各社にとっては打撃となり、需要抑制、料金引き上げなど国民生活への打撃も避けられない。


  中国に権益を奪われるという懸念も現実味を帯びてくる。 


■埋まりつつある〝外堀〟 


 〝外堀〟が徐々に埋まりつつある。


 そのひとつがドイツの方針転換だ。


 ドイツは天然ガスの55%、石油34%をロシアに依存しており、日本は撤退の可能性は少ないとみていたが、思い切ってパイプライン「ノルドストリーム2」の計画停止を決めた。 事業費約1兆2000億円、ほぼ完成しているが、稼働中止となった。 


 5月12日の日本ーEUの定期協議での共同声明に、ロシア産天然ガス依存度を減少させることを念頭に「供給の安定性確保の協力」が盛り込まれた。


 対日圧力の第一波到来というべきだろう。 


 日本国内でもすでに2022年3月の衆院本会議で、国民民主党の玉木代表が、「G7各国の制裁の足並みを乱す」としてサハリン2撤退を求めている。


 エネルギーは食糧と並んで、国の安全保障の根幹をなすだけに、拙速な結論は禁物だ。


 しかし財界の一部にも撤退やむなしの声があり、国際的な圧力だけでなく、国内からも中止要求が高まった場合、追い込まれて決断を迫られる事態にならないか。 


■優柔不断は影ひそめた決断 


 今回のロシアによるウクライナ侵略の直後、日本が十分な支援、対露制裁を実行できるか、懸念する向きがあった。


 2014年、ロシアがクリミアを併合したときの日本の制裁は、ビザ発給緩和の停止、関係者23人へのビザ停止など軽微な内容だったからだ。


 ロシア政府高官の資産凍結、入国禁止、武器禁輸などを打ち出した欧米とは大きな違いだった。


 そのうえ、あろうことか今回のロシアによる攻撃10日前の緊迫した時期に、林外相とレシェトニコフ経済発展省との間で「日露貿易経済政府間委員会」が開かれ、両国の経済協力全体が話し合われたというのだから、強い制裁など望むべくもないと感じた向きは少なくなかったろう。 


 しかし、懸念は杞憂に終わった。


 ふたをあけてみれば、事前の懸念を払しょくする〝健闘〟ぶりだった。


 ウクライナに対して、食糧、シェルターなど2億ドルにのぼる人道支援、3億ドルの円借款に加え、防衛装備品の供与という異例のおまけまでつけた。


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