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ロシア戦車が惨敗した理由(下)気になるプーチン政権の「余命」その3

Japan In-depth / 2022年5月25日 18時0分

また、いわゆるトップ・アタック兵器も脅威となった。





戦車の装甲は、全面にわたって均等な厚さではない。それでは、重くなりすぎて機動性が著しく損なわれてしまう。そこで、どの国の戦車でも、被弾率の高い車体や砲塔の全面は厚く、逆に上面や側面は薄くなっている。





攻撃ヘリコプターが戦車にとって脅威とされていたのも、読者ご賢察の通りの理由であるが、最近では上方から撃たなくとも、あらかじめプログラムされた軌道でもって、標的の上方に着弾するようなミサイルがあり、これがすなわちトップ・アタック兵器と呼ばれるのだ。3月のシリーズで紹介した米国製の携帯式対戦車ミサイル「ジャベリン」も、この機能を備えている。









▲写真 米国製の歩兵携行式対戦車ミサイル「ジャベリン」。写真は豪軍によるデモンストレーション(2019年5月9日 豪・セイモア) 出典:Photo by Scott Barbour/Getty Images





このような問題に対して、ロシア軍も無頓着であったわけではない。





たとえば2015年から製造が始まったT-14という戦車は、無人砲塔を採用した他、飛来するミサイルなどを探知・迎撃するシステムも搭載している。





砲塔は前述のように無人で、3名の乗員は車体前方に横一列に並ぶデザインだ。









▲写真 ロシア軍T-14戦車(2020年6月24日 モスクワ) 出典:Photo by Ramil Sitdikov - Host Photo Agency via Getty Images





これもこれで危険なのでは、と思えたのだが、防弾カプセルと称する頑丈な装甲で守られている上に、西側軍事筋の見るところでは、ロシアは将来、この戦車を無人化(=完全自律操作式への転換)することを考えているという。





しかしながら、この戦車は未だウクライナの戦線に登場していない。





理由は簡単で、数が足りないのだ。





もともと現代の戦車は、鋼鉄の塊といった従前のイメージと異なり、ハイテクの塊というにふさわしいものとなっている。ロシアの戦車も例外ではないのだが、その製造にはフランスやイスラエルから調達する電子機器(部品を買ってロシアで組み立てるノックダウン生産品も含めて)が不可欠であった。





ところが、2014年のクリミア併合に対する経済制裁の結果、前述のように2015年に製造が開始されたT-14は、たちまち必要な電子機器が入手困難となり、製造・配備は遅々として進まない、という状況に陥った。これまた西側軍事筋の見るところでは、稼働状態にあるのは20輛程度ではないかという。





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