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英米は「第二のシリア化」を憂えている 気になるプーチン政権の「余命」その4

Japan In-depth / 2022年5月28日 18時0分

英米は「第二のシリア化」を憂えている 気になるプーチン政権の「余命」その4




林信吾(作家・ジャーナリスト)





林信吾の「西方見聞録」





【まとめ】





・ウクライナの前線には、「アゾフ大隊」のような過激なウクライナ民族主義者たちから成る義勇兵部隊もある。





・戦争に紛れ込んでいる白人至上主義の過激派が実戦経験を積み、それを自国に持ち帰ってフィードバックして行くのではないか、と英米などは警戒している。





・侵攻の背景、戦争各国にある諸問題や、「ロシアの論理」などを知ったうえで、武力で国際秩序を変更しようとしたロシアの行為を論じることが大事。





 





今次のロシアによるウクライナ侵攻に際しては、双方が正規軍以外に、日本では耳慣れない名称の兵力を前線に投入している。具体的には「義勇兵」や「準軍事組織」そして「国家親衛隊」などだ。





東部マウリポリのアゾフスタリ製鉄所に立てこもってロシア軍に対する抵抗を続けていた「アゾフ連隊」も、ウクライナの準軍事組織である。





この製鉄所は1930年代にソ連邦によって建設されたもので、当初から防空壕などが整備されていたが、冷戦時代に大拡張され、核攻撃にも耐え得る地下6階建ての要塞があるという。避難してきた民間人ともども数千人を収容することができた。





もともとソ連邦の工業地帯では地下壕などの防備を施した例が多く、ナチス・ドイツとの戦争においても、スターリングラード(現ボルゴグラード)では工場・家屋のひとつひとつを奪い合うという凄惨な市街戦が展開された。





今次のロシア軍も、地下要塞に立てこもる相手を攻めあぐねたが、5月20日にはウクライナ軍側が「任務は達成された」として防衛戦闘の終結を呼びかけ、数百名が投降。23日にはロシア軍側がマウリポリを「解放した」と宣言した。





その後、まずはウクライナ側が捕虜交換を打診したが、当初ロシア側は、





「彼らは、戦時捕虜でなくネオナチの犯罪者集団である」





として拒否する意向であった。その後なにがあったのか、22日付の報道によれば、ロシア側も、親ロシア派武装勢力と、アゾフ連隊の将兵との捕虜交換に前向きな姿勢を見せはじめているようだ(時事通信のサイトなどによる)。





……話がいささか先回りしてしまったが、そもそもアゾフ連隊とはどのような組織か。





ごく簡単に述べれば、過激なウクライナ民族主義者たちから成る義勇兵部隊であるが、創設当初はもっぱら「アゾフ大隊」と呼ばれていた。





これは私個人の推論を含むものであると明記しておくが、2014年に親ロシア派武装勢力との戦闘で名を挙げた時点では、メンバーは600名弱とも800名程度とも言われていたものが、現在は1500名以上にまで増強されているからではないかと思われる。





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