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またしても「クルド人斬り捨て」か 気になるプーチン政権の「余命」その5

Japan In-depth / 2022年5月31日 7時0分

またしても「クルド人斬り捨て」か 気になるプーチン政権の「余命」その5




林信吾(作家・ジャーナリスト)





林信吾の「西方見聞録」





【まとめ】





・フィンランド・スウェーデンがクルド人テロ組織を擁護しているとして、両国のNATO加盟にトルコが難色を示している。





・両国がクルド人抑圧を理由にトルコに制裁を課し、クルド系難民を受け入れていることが、加盟への障壁となった。





・人権尊重を標榜する両国のNATO加盟のために、クルド人の人権を軽視するのは、「オウンゴール」ではないか。





 





ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、これまで中立政策をとっていたフィンランドとスウェーデン(以下、北欧2カ国)がNATO加盟に向けて動き出し、これはプーチン大統領のオウンゴールだと評されていることは、すでに述べた。





サッカーで、相手のシュートを防ぐつもりが誤って味方ゴールに蹴りこんでしまった、というのがオウンゴールで、昔は「自殺点」と呼んだ。





……そのような話はどうでもよいのだが、前述の、北欧2カ国がNATO加盟を求める動きに対してトルコが難色を示している問題について、今回少し考察を加えてみたい。





最大の理由は、クルド人問題である。





順を追って見て行かねばならないが、現在の版図で言うトルコ、イラン、イラク、シリアにまたがる山岳地帯が、古来クルディスタンと呼ばれており、そこで暮らす人々が、すなわちクルド人だ。人種的・言語的特徴はイランのそれと共通する部分が多く、宗教はスンニ派イスラムに帰依している人が大多数だが、キリスト教、ユダヤ教、ゾロアスター教の信者も少数ながらいるという。





人口は、一部の地域では混血が進んでいるなどの事情もあって、3500万人程度であるとも5000万人近いとも言われ、詳細までは分からないのだが、いずれにせよ中東においてはアラブ人、トルコ人、ペルシャ人(=イラン人)に次いで多いことには違いない。





「国家を持たない世界最大の民族」





とも呼ばれる。





彼らが国家を持たなかった(持つことができなかった)理由と、トルコやイラクにおいて迫害を受けた理由を掘り下げたならば、オスマン帝国の歴史と深い関わりがある。





1299年、アナトリア(現在のトルコ東部・アジア領域)にある小さなイスラム君主国として始まったオスマン朝は、いち早く鉄砲を採用するなど軍事面で先進性を見せた結果、地中海世界に覇を唱えるまでになった。後には東ローマ帝国を滅ぼして首都コンスタンチノープルを征服(1453年)し、自分たちの首都とした。現在のイスタンブールである。





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