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福島県の医師不足は改善されたのか その2

Japan In-depth / 2022年6月1日 7時0分

この制度は問題だらけだが、その一つが、若手医師の派遣先が国公立病院や公的組織に偏ることだ。「福島県地域枠医師等キャリア形成プログラム」によると、2020年3月現在、82の医療機関に医師を派遣しているが、このうち民間医療機関は、大原記念財団大原綜合病院、同太田西ノ内病院、星綜合病院など、わずかに5つだ。





いわき市については、5つの医療機関に医師が派遣されているが、いずれも公立病院だ。さらに、市内で最大のいわき市医療センター(700床)は、東北大学の関連病院で、東北地方全域をカバーする同大学が、この病院に優先的に医師を派遣しているわけではない。この結果、いわき市に派遣される地域枠の医師は少なくなる。





従来、この地域の医療は民間病院が担ってきた。例えば、松村総合病院(206床)の歴史は、磐城平藩の藩医松村有輔が戊辰戦争で没した後、その子松村高知が1883年に設立した長春館病院に遡る。食品ラップフィルム「クレラップ」や抗がん剤「クレスチン」の開発で有名で、いわき市内に主力工場を有するクレハは呉羽総合病院(199床)を運営している。また、2010年にいわき市立常磐病院が委譲された財団法人ときわ会は、いわき市内に常磐病院(240床)と磐城中央病院(60床)を運営している。ところが、このような病院の名前は、「福島県地域枠医師等キャリア形成プログラム」の派遣先のリストにない。





このような医療機関に、地域枠の医師を派遣すれば、この地域の医師不足は大幅に緩和されるし、地域枠の主旨から考えても、そうすべきだ。いわき市の人口は、福島県(約180万人)の18%にあたるのだから、地域枠80人の18%にあたる14人を、この地域に派遣すればいい。9年経てば、120人以上の若手医師が、この地域で働いているようになる。いわき市の医師数は473人(2020年末現在)だから、状況は大幅に改善するはずだ。これは、運用の問題で、福島県がその気になれば、すぐにでも対応可能だ。





その際のポイントは、派遣先を公立病院だけでなく、民間病院にも拡充することだ。地域枠制度は、運用次第で、若手医師を公立病院に縛り付ける利権となる。医師が集まらない公的病院には、それなりの理由がある。そのような病院に半ば強制的に若手医師を派遣するのは、派遣される若手医師だけでなく、納税者にとっても不幸だ。





幸い、いわき市内には勢いのある民間病院がある。5月26日、松村総合病院はJRいわき駅北口に6階建ての病院を設立することを明かした。JR東管内で初の駅直結型の総合病院だ。利便性がよく、これまで多忙を理由に病院を受診できなかった現役世代も利用できる。新たな医療サービスが産み出されるだろう。





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