「新しい資本主義」は新しいのか?
Japan In-depth / 2022年6月5日 11時0分
少子高齢化が速いスピードで進んでいる点を冷静に認識すれば、経済全体として例えば+2%の実質成長を安定的に続けていくことが、今すぐにも実現できるというようなことがあるのだろうか。足元のインフレ率の上昇を踏まえると、+2%のインフレが実現すれば、その成長率目標が実現するというのは、一体、どういうロジックに立脚したものだったのだろか。
日本経済を持続的な状態に持っていくために、2025年に財政の基礎的収支を黒字化させるというのがベストなのだろうか。他方で、財政赤字は気にすることがないといった主張を本当に信用して良いのだろうか。
このように、これまでの米国型資本主義追及路線の中で掲げられてきた金融・財政のマクロ安定化政策に限ってみても、もう一度見直し、考えを整理すべき論点は多々ある。
国民は、安心して経済活動に従事できる環境の実現を望んでいる。本当に困っている人が誰かを探し当て、効果的に手を差し伸べてくれることを政府に求めている。補正予算を何十兆円組む、あるいは超金融緩和を絶対堅持するといった、超マクロの議論に終始せず、もっとミクロに踏み込んで丁寧な政策を立案・実行することこそが、「新しい資本主義」に中味を入れることになるように思う。
トップ写真:オリンピック直前の東京(2021年7月12日東京・渋谷) 出典:Photo by Takashi Aoyama/Getty Images
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