悪魔くんとプリンセスキャンディさん 地名・人名・珍名について その1
Japan In-depth / 2022年6月17日 15時26分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・5月17日に戸籍法改正の中間試案が発表され、これまで制限のなかった人名の読み方についてガイドラインが設けられる可能性がある。
・キラキラネームに規制をかけることができるとして、改正案に好意的な意見も多いが、法律が関知すべきところか否か疑問に思う部分もある。
・フランスでは1789年の市民革命の騒動で、この時期に生まれた子供に革命にちなんだ名前を付ける人が増え、教会がガイドラインを設けた。
先月はロシアによるウクライナ侵攻についてシリーズで取り上げたが、書き進める過程で、改めて考えさせられることも多々あった。
5月末にはプロ野球の交流戦が始まり、北海道日本ハムファイターズのチアリーダーたちが踊る「きつねダンス」が大変な評判となった。やはり日本は平和だなあ、有り難いことだ、と改めて思わされたし、そうした気持ちを抱いたのは、私一人にとどまらないだろう。
もうひとつは、少し前からの話ということになるが、ウクライナの主要都市の名前について、キエフではなくキーウ、オデッサではなくオデーサと記すようになった。ロシア語読みからウクライナ語読みに変えたわけで、ロシアに対する抗議の意思を示すものだとか。
キエフ大公国とか、歴史的な呼称はどうするのか、といった疑問もあるにはあるが、それを言い出したらきりがない、という話でもあるので、この連載でも原則ウクライナ語読みの表記を採用することにした。ただしキーウ(キエフ)のようにカッコ付きで。これは、安易に読み替えれば良しとする風潮に対する、私のささやかな抵抗である。
地名の話は項を改めるとして、ここで話が少し前後するが、5月17日には、法務大臣の諮問機関である法制審議会が、戸籍法改正の中間試案を発表した。早ければ来年の通常国会に提出される改正案において、人名漢字の読み方についてひとつのガイドラインが設けられるかも知れないのだとか。
現行の戸籍法においては、子の命名に際して
「常用平易な文字を用いなければならない」(50条第1項)
と定められ、使用できる漢字についての規定がいくつかあるが、読み方については何の制限もなかった。昔からよく言われているのは、太郎と書いてジローと読ませてもよいわけで、たしかに不可思議な制度ではある。
今次の改正案に際して、マスメディアでは好意的な意見を開陳する人が多いようだが、その理由は主として、
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