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悪魔くんとプリンセスキャンディさん 地名・人名・珍名について その1

Japan In-depth / 2022年6月17日 15時26分

「キラキラネームに一定の規制をかける法的根拠となり得るから」





ということのようだ。





たとえば、キラキラネームの象徴のように言われる、黄熊と書いて「ぷう」と読ませるのは、漢字から読み方をまったく連想できないので、戸籍法が改正されたなら、届け出ても受理されない可能性があるという。ディズニーのアニメ映画『クマのプーさん』にちなんだものらしい。





もっとも、同じくキラキラネームの象徴のように言われた光宙(ぴかちゅう)は、漢字から読みを連想し得るのでOKになる可能性が高いとか。結局なにがしたいのか、と言いたく成るではないか。こちらもアニメにちなんだ名前という点では全く同じなのに。





ちなみに「ぷう」と「ぴかちゅう」に関しては、実在が疑われている。複数のメディアが、





「そうした出生届を受理したことがあるか」





というアンケートを各自治体に配布するなど、様々なアプローチを試みたが、未だに実在は確認されていないと聞く。Yahoo知恵袋というサイトに、





「子供に光宙(ぴかちゅう)と名付けた親ですが、なにが問題なのでしょうか」





という「質問」が掲載されていることは知っているが、これ自体、本当の話だと信じるに足る根拠はなにもない。





ただ、実際に「王子様」と名づけられた男子高校生が、家庭裁判所に申し立てを行って改名した例もあるし、一方「プリンセスキャンディ」と名づけられた若い女性は、明らかに面白がっているようで、住所を隠した免許証の写真まで公開している。これを延長して考えれば「黄熊」や「光宙」も、絶対にいないとは言い切れないようにも思う。そもそも日本の人名はカタカナやひらがなで表記される例も多いので、漢字の読み方だけガイドラインを設けても無意味ではあるまいか。





念のため述べておけば、私は「人名の無政府状態」を良しとしているわけではない。





一定の年代以上の読者なら、1993年に起きた「悪魔くん騒動」をご記憶ではないだろうか。同年8月、東京都昭島市で、息子の名前を「悪魔」とした出生届が提出されたが、市役所は一度受理したものの、法務局から「待った」がかかり、ついには裁判沙汰となった。





連日ワイドショーや新聞を賑わせたが、親の見識を疑う、とするコメントが大多数であったようだ。最終的には、父親が不受理に対する不服申し立てを取り下げ、子供には別の名前が授けられたようだが、命名権の範疇をめぐって法曹界でも論争の的となった。





これはキラキラネームとは少し意味合いが違うかも知れないが。社会通念に照らして不適当な名前は認めない、という考え方は、決してわが国だけのものではない。むしろ、命名に一種のガイドラインを設けることこそ、近代的な戸籍制度の出発点であるとさえ言えるのだ。





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