参議院選挙の本当の「争点」② 物価高
Japan In-depth / 2022年6月27日 13時11分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・物価高は資源価格の上昇、円安、ウクライナ問題、新型コロナの影響が複雑に絡んで起きた問題。
・各党の燃料油に対する物価高対策は手法が異なり、トリガー条項の凍結解除が争点。
・政策で問われるべきは、さらなる物価高騰の場合のリスクマネジメントであり、どこまで思い切った政策選択肢を想定しているのかだろう。
物価高。
正直、それが参議院議員選挙の争点なのか?と思っていたところはあった。世界的な現象であり、経済のこと。どう政府が対策するかにしか過ぎないし、対策の選択肢にも限界がある。これまで物価はなかなか上がらなかったので、やっとではないかと思っているくらいであった。
とはいえ、想定以上に物価が上がる可能性もあるし、世論調査でも選択肢の中で上位にくる争点であるし、岸田総理が「争点」と語ったこともあるので、その争点について考えていこう。
まずは物価高の理由を考えないといけない。
▲写真 【出典】清水健一さん、HPより
ドイツのベルリンに在住する、元財務官僚で経済学者、22世紀数理統計研究所チーフアナリストの清水健一さんに聞いてみた。
清水さんは「現在の物価高の要因は3つあり、ウクライナ戦争、コロナウイルス、生産地・原料供給地の分散です。これらの要因はすぐにはなくならないと考えられます。米FRB(中央銀行)の6月17日の発表によれば、米個人消費支出のインフレ率の予想は2022年が+5.2%、2023年が+2.6%、2024年が+2.2%となっています。」と語る。
その指摘をもとに整理すると、以下図のように、資源価格の上昇、円安、ウクライナ問題、新型コロナの影響が複雑に絡んで起きた問題であるということになる。清水さんもいうように、特にウクライナとコロナの要因は大きい。新型コロナからの回復基調で、かなり需要過多になっていて、供給が追い付いていない。そのため、様々な価格が上がり、ウクライナ戦争によって特にエネルギー価格の上昇、穀物価格上昇が一気に進んだということらしい。
▲図 【出典】筆者作成
◇各党の政策比較
それでは物価高対策、そもそも政府の活動を振り返っておこう。4月26日に決めた「コロナ禍における『原油価格・物価高騰等総合緊急対策』」では原油高騰対策が具体的に並び、6.2兆円の国費を充て民間支出などを含む事業規模は13.2兆円という大規模な対策が取り組まれた。
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