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参議院選挙の本当の「争点」③ 賃上げ

Japan In-depth / 2022年6月29日 7時0分

◇各党の違い





各党の政策を比較してみよう。









▲表 【出典】各党の政策比較、筆者作成





各党はそれぞれ、かなり違うことが明らかになる。1500円レベルというところもあれば、1150円のところ、あいまいにしているところもあり、様々である。最低賃金の設定額が論点の1つであろう。自民党は過去の参院選では掲げていた最低賃金1000円の目標を今回、記載せず、なぜか慎重な姿勢を示している。もちろん、自民党や維新の会は支持層(大企業、中小企業経営者、ベンチャー企業経営者)を考えると厳しいということだろう。









▲図 【出典】国民民主党公約





ただし、額は提示されても「どのように」最低賃金を上げるのか、という点は明らかになっていない。その意味で、「どのように」が第二の争点と言っても過言ではないだろう。財源や手法を具体的に示したのは共産党と立憲民主党とれいわ新選組である。





◇最低賃金をどのように引き上げていくのか?





「どのように」を最も具体的に記載しているのがれいわ新選組である。「中小零細企業に対して国が賃上げ分を補償。企業には補助金や社会保険料の事業主負担分の減免」(れいわ新選組ホームページ)と主張している。しかし、財源は書いてあるが、進め方が書いていない。どのタイミングで、どれくらいの期間で、順序はどの順で、という導入ステップなどが見えない。





そして、本当にそんなことが実現可能なのかという不安もぬぐえない。





なので、韓国などの過去の失敗例やイギリスの成功例などから知見を提供したい。過去事例を総括すると、以下のようになる。





・最低賃金を賢く引き上げ、経営者がパニックにはならず、ショックを与える程度に引き上げるのが効果的





・一気に急激に上げない





・10%以上あげるのは混乱を生む





・企業への規制強化はやめたほうがいい





・雇用コストの上昇を企業が生産性の向上で補うことが大事





・職業訓練やリスキリングを用意して成長を促す





・セーフティネットの強化も十分必要





【参考】ニッセイ基礎研究所 矢嶋康次さん、鈴木智也さんによるレポート「最低賃金、引上げを巡る議論-引き上げには、有効なポリシーミックスが不可欠」、アトキンソンさんの文章、をもとに筆者製作





こうしたことが言われているので、NHK『日曜討論』で自民党の高市早苗政調会長が「韓国は失敗した」と主張していたことには違和感を持たざるを得ない。失敗の1事例を取り上げて議論を制するのは選挙戦術として、どうなのだろうか。





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