朝日新聞と日本共産党の共通点とは
Japan In-depth / 2022年7月2日 7時0分
日本国民の防衛努力に水をかける主張だった。内容は北朝鮮、中国、ロシアという日本にとっての3大脅威を認めながらも、その脅威への対処は防衛の強化ではなく、外交だけにしろ、というのだ。つまり日本の防衛は強化するな、と主張するのである。
つまるところは日本の防衛を否定するこの記事は結論は明快だった。だがその結論にたどり着くプロセスは理屈が穴ぼこだらけ、支離滅裂でさえあった。
まずこの記事はいまの岸田政権や自民党内の防衛費増額の議論を「勇ましい議論」と決めつける。「勇ましい」というのはいかにも情緒的な表現だ。そもそも日本が周囲の脅威の切迫に対応して自国を守ろうと意識することは、勇ましくもなんともない。むしろ相手に押され、脅かされての受け身の反応なのだ。だがこの朝日新聞の記事はさらに以下のように書いていた。
「中国の軍事力に対する防衛力の見直しは必要だ。しかし岸田首相が国会で『自分の国が軍事力を強化すると、相手はさらに軍事力を強化する。結果として自国の脅威が増すことになる』と説いた。『安全保障のジレンマ』を我々も念頭に置く必要がある」
さて以上の佐藤記者の記述には明らかな欠陥がある。まず「自分の国が軍事力を強化すると、相手はさらに軍事力を強化する」という岸田首相が述べたという言葉も、その大前提は中国、つまり相手が大軍拡をやってきたから、自分の国もしかたなく抑止のため、受け身の形で軍事力を強化する、のだ。
だが佐藤記者の引用はいかにも均衡で安定した状態下で日本がまず軍事力を強化する、という意味へと実態をよじ曲げている。日本が防衛力を強化すれば、中国も強化するから、やめておけ、というのは日本は防衛面で中国の優位を変えるなと、日本側だけに自粛を求める主張である。だからこの記事のそもそもの立脚点は日本のためなのか、中国のためなのか、とまで疑わされる。
この記事はさらに以下のようにも述べていた。
「日本の足元を冷静に見つめることも必要だ。経済規模に対する債務残高は2倍超に膨らみ、世界最悪水準だ。防衛費を増やしても単独で中国に対抗できるはずはなく、外交での『抑止』に重きを置くしかない」
この記述は日本政府の財政赤字を指しているのだろう。だがいまの防衛費を2倍に増やしても、その財政状況が大きく破綻することにはならない。また「単独で中国に対抗できない」と断じているが、日本の防衛はいつもアメリカとの共同である。日米同盟の軍事能力を高めるための日本の防衛費の増額なのだ。そのあたりをこの朝日新聞の記事は無視して、事実関係を曲げていく。
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