朝日新聞と日本共産党の共通点とは
Japan In-depth / 2022年7月2日 7時0分
「外交での『抑止』」というのも意味不明だ。外交は外交で常に努力がなされている。外交で解決できない軍事の脅威や威嚇は同じ次元の防衛や軍事で抑止するのがどの国でも安全保障の基本である。そもそも「抑止」というのは軍事面で相手に攻撃をさせない措置をとることである。それを「外交での『抑止』」という意味不明の用語を切り札のように使うところにこの記事の偏向がにじんでいる。
この記事は次のようにも書いていた。
「軍事大国のロシアが苦戦を強いられているのは、欧米が結束して制裁などで対抗し、外交に敗北しているからだ」
この記述も事実に反する。ロシアがウクライナで苦戦するのはウクライナ軍の強固な軍事反撃のためである。そのウクライナの反撃を可能にしているのは欧米の制裁などかもしれないが、制裁だけではこれまでのロシアのウクライナ軍事侵略をまったく抑えることができなかった現実は明白である。
ウクライナの戦況を左右するのは軍事力同士の対決、軍事闘争の一進一退である。ロシアが外交のために戦場で苦戦する、というのは焦点をそらす、煙幕のような主張である。
この朝日新聞の記事はそしてロシアのウクライナ侵略に対するインドや東南アジア諸国の必ずしも非難ではない複雑な反応を伝え、日本は韓国との関係も改善すべきだ、と述べていた。そのうえで最終部分では以下のように結んでいた。
「ウクライナ危機に乗じ、軍事に急速にアクセルを踏むより、地域の結束を牽引する『外交の力』こそ、この危機から学ぶ、日本の教訓なのではないか」
この最終部分はこの記事全体の支離滅裂さの象徴だった。日本にとっての中国や北朝鮮、ロシアの脅威への対応を論じていたはずが、終わりの部分で論題はウクライナ危機への対処に変わって、「地域の結束」と「外交の力」が最重要だと強調するのだ。日本は自国の防衛はそのままにして、外交を進めろ、というわけだ。
だが軍事面での脅威を外交だけで抑えられるはずがない。全世界の諸国が自国を守るための軍隊を保有しているのは、外交だけでは自国を守れない、と認識しているからだ。だが朝日新聞は軍事脅威がこれほど明白な日本の現状に対して、防衛は手をつけず、外交だけで対処せよ、と求めるのだ。そしてこの記事の最大の欠陥とも呼べるのはその中国や北朝鮮の軍事脅威を実際に抑え、減らすための「外交力」の対策が具体的になんなのか、まったく示さない点だといえる。
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