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中国の偽装対日友好に注意を

Japan In-depth / 2022年7月8日 18時0分

その戦術の結果、日本に新たに友好の手を差し伸べ、往々にして中国からみて御しやすい親中派の二階俊博氏をまず動かそうとする。そして与党の権力機構内にある二階氏がその職権などを利用して、多数の日本人を連れて北京を訪れ、中国側要人と交流する。


中国側のこんな戦術の結果、実現した2000年5月の日本人5000人引率の二階訪中団を私は北京の人民大会堂で目撃した。当時運輸相の二階氏とその5000人もの訪中団は人民大会堂での式典で江沢民、胡錦濤の正副国家主席から歓迎を受けた。


アメリカの当時のクリントン政権は中国の台湾への軍事威嚇などを理由に対中姿勢を急速に硬化させていた。日本には日米共同のミサイル防衛構想を呼びかけ、同盟強化を進めていた。中国指導部はそんな状況下では日米両国と同時に敵対を深めるのは不利だと判断して、日本へのかりそめの微笑をみせたのだった。


2015年5月には自民党総務会長の二階氏は約3000人の訪中団を連れて北京を訪れた。習近平国家主席とも親しく会談した。このときも中国はそれまで尖閣諸島や歴史認識で日本には厳しい言動をとっていた。だから二階訪中団への歓迎は唐突にみえた。


この時期もアメリカは中国への姿勢を強硬にしていた。中国による南シナ海での無法の軍事拡張、東シナ海での威圧的な防空識別圏宣言などに対し、融和志向だったオバマ政権もついに反発し始めた。日米間では新たな防衛協力のための指針が採択されたばかりだった。日米同盟の画期的な強化だった。2000年の米中関係や日米同盟の状況と酷似していたのである。


だから今回の趙報道官の対日友好声明も中国側のそんな年来の戦術を思わせたのだ。真の友好ではなく、外交戦術としての偽装の友好だといえる。


ただし今回の偽装はほころびが速かった。


趙報道官は日本へのこの友好声明の翌日、こんどは中国人記者の質問に答えて、「日本は本当に東アジアの平和と安定を望むのなら、自国の侵略の歴史を真摯に反省して教訓にすべきだ」と述べたのだ。そして韓国については「中国と韓国は共に重要な協力パートナーとして広範な共同利益を持つ」と論評した。前日の日韓両国をパートナ―とみなすという発言から日本を落としたのである。


同時に中国外務省は6月30日の趙報道官の会見の記録から日本を協力パートナーと規定した部分を削除していた。やはり日本への微笑はかりそめにしても、まだ止めておこう、という判断からだったのか。


日本側としては中国政府のこの種の小手先の偽装やまやかしをしっかりとみすえていくことが肝要である。


**この記事は日本戦略研究フォーラムの古森義久氏の寄稿コラム「内外抗論」からの転載です。


トップ写真:ドイツのシュロス・エルマウ にてG7のリーダーが集まる。6月26日 出典:Photo by Stefan Rousseau - Pool/Getty Images


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