参議院選挙の本当の「争点」⑫政治システム改革(安倍晋三氏追悼)
Japan In-depth / 2022年7月9日 16時53分
【出典】総務省資料、日本医師連盟について
団体にとって、このお金はいったい何のためなのだろう。影響力を及ぼすためだというのは理解できる。しかし、株主総会、総会などで「オープンに」内部や社会に説明する社会的責任もあるだろう。会員もその意義を厳しく問う人がいてもいいし、政治資金の効果があったのか?そもそも必要か?も組織内部で問われて欲しいものだ。
■【論点3】行政官僚の働き方改革・モチベーション向上
そして第3の論点が行政官僚の働き方だ。深刻なのが官僚・政府組織の内部のモチベーションである。若手官僚には退職者が目立つようになったと言われており、仕事に意味ややりがいが感じられないこと、組織内部の体質や激烈な働き方などが原因と言われている。
確かに、政治的文脈では、内閣人事局による人事のコントロールなど「政治のリーダーシップ強化」によって、官邸官僚の跋扈するなど指示命令系統のゆがみ、忖度・論功行賞が横行、政策決定が非公開・少数・短期で実施されたり、内閣人事局の弊害は情実人事であったり、官邸の意向に沿わない人物を遠ざける報復人事の可能性・余地があるといった問題点が指摘されている。このことは政治のリーダーシップ強化が起こしうる弊害なので、これはまたきちんと評価すればよい問題だが、深刻な問題はそれとは別に、現場にあるのだ。
特に、官僚の立場に立つと、
・2年でローテーションでは専門性が身につかない
・人材市場で価値のあるスキルが身につかない
・内閣人事局で政治家が言われた「本当に必要なのか効果についても疑問がある」仕事を仕方なくやることもある
・机上の空論や法律論議が多く、現場感や社会への貢献意識、やりがいが感じられない
・法律や政策の制約によって創造性が発揮できない
・人事評価、業績評価といっても、目標設定・達成度評価が機能しないし、評価に納得も持てない
・民間企業の友達より賃金が低い
となってしまうのだ。
内閣人事局の調査結果を見てみると恐ろしい「厳しい職場」像が浮かび上がる。
【出典】内閣人事局「在庁時間調査」
なんと、20代の一種・総合職の職員の16%が1月100時間以上の残業時間をしているのだ。我慢して働いてもらっている状況は持続的であるとは言えないだろう。人事評価同様、仕事の中身やモチベーションは深刻に議論・改善すべき問題である。
■安倍首相の遺志をついで
今回の連載では、経済政策を中心に論点を出してきたが、政治システム改革こそ、令和の日本の「未来の社会像」にとってもっとも大事なテーマではないかと思う。それは、社会における価値観闘争・影響力闘争・利害闘争のベースになるルールであるからだ。
各党の公約を見ると、政治家もやるなあと正直思ってしまった。それぞれ問題認識を持ち、提案している。各党・政治家さんが皆で協力してすべてを実現する、それが難しくてもある程度妥協・方向性
を合意して実行できれば日本の政治はイノベーション出来るはずという思いを強くした。
日本政治のシステム改革、各党が歩み寄って、協調して、協力して、未来が暗い令和の日本を立て直して欲しい。「改革をとめてはならない」「美しい国」をつくるために必要なことはそういったことだと思う。
安倍晋三さんに捧げる。
写真)国会議事堂 2010年1月18日
出典)Photo by Kiyoshi Ota/Getty Images
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