参議院選挙の本当の争点⑬ エネルギー・環境政策
Japan In-depth / 2022年7月10日 0時15分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・原油高騰による電気料金の値上げやガソリン価格の上昇などから、エネルギー政策が問われている。
・カーボンニュートラルに向け、原発再稼働と再エネ具体策が論点。
・国際送電網の整備も考慮したい。
参議院議員選挙の本当の争点、最後はエネルギー・環境。
「サハリン2」の運営をロシア企業に移管させるロシアの大統領令によって出資している日本が排除されかねない事態になりそうだ。このサハリン2、LNG(液化天然ガス)1000万トンの生産量で、60%が日本向けである。日本の電力やガス会社に供給され、長期契約で量やコストは安定していた。航路は3日程度で2週間の中東より短いため、日本にとってはLNG安定供給に貢献していて、「安全保障」に重要なものであった。
2022年2月、英蘭シェルがロシアによるウクライナ侵攻に抗議する形でサハリン2を含むロシアでの全事業から撤退することを表明したものの、「中国に権益を取られる」という懸念もあり、岸田総理は衆議院本会議で、撤退しない旨を国会で表明していた。こうした日本のエネルギー安全保障上、「きわめて重要なプロジェクト」。その見通しが、不透明になってきた。
今こそ、日本のエネルギー政策が問われている。原油高騰による電気料金の値上げやガソリン価格の上昇は経済や国民生活に直結するし、そして、電力不足に対して、どう対応するのか。岐路にあるといっても過言ではないだろう。
■エネルギーは「政治」
エネルギー自給率という指標がある。国民生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、自国内で産出・確保できる比率のことを言う。このエネルギー自給率、日本は12.1%という脆弱な基盤であることを皆さんは知っているだろうか。
▲図 主要国の一次エネルギー自給率比較(2019年) 出典:資源エネルギー庁
国民生活や経済活動を充足できるエネルギーを輸入するしかない脆弱さをまずは理解しないといけない。
そもそも、歴史を振り返ると、人間は薪などを使って火を利用することからエネルギーの歴史が始まった(第一次エネルギー革命)。火を手にした人類は,獰猛な動物から身を守り逆に攻撃できるようになって,生態系の食物連鎖からひとり離脱したのだ。その後は、家畜、風力、水力、木炭などが使われてきたが、(森林を切りすぎた)イギリスによる石炭の利用が第二次エネルギー革命と呼ばれている。
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