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宗教と資金活動について(上)異文化への偏見を廃す その6

Japan In-depth / 2022年7月31日 15時4分

宗教と資金活動について(上)異文化への偏見を廃す その6


林信吾(作家・ジャーナリスト)


林信吾の「西方見聞録」





【まとめ】


・安倍元首相を撃った山上徹也容疑者の供述から、「旧統一教会」が注目されるようになった。


・韓国のキリスト教徒は総人口の3割近くを占め、2割程度とされる仏教徒より多い。


・宗教と資金活動の問題は、デリケートな面があり、一筋縄では行かない。


 


 シリーズの冒頭、安倍元首相が射殺された事件の話題から始めたが、なんの因果か締めくくりもこの話題からということになった。


 手製の銃で安倍元首相を撃った山上徹也容疑者の犯行動機が、少しずつ明らかになってきたからである。


 ここで少し余談にわたるが、まずタイトルの「偏見を廃す」という表記について、ある読者から「排す」の間違いでは、とのご指摘をいただいた。


 漢字の使い方としてはその通りであるのだが、個人の感覚や信仰に関わる問題なので、排除とか排撃といった言葉を連想させる表記は避けたいと思い、偏見などは自然に廃(すた)れて行けば、との願いも込めてこの表記を選んだものである。


 山上容疑者という表記についても、まあ現行犯逮捕だから、100%彼が犯人で間違いないのだろうが、やはり法に照らすと、有罪判決が確定するまでは「推定無罪の原則」というものがあるので「犯人だと疑われる人物=容疑者」と書かねばならないのだ。


 話を戻して、容疑者の供述から、にわかに注目されるようになったのが「旧統一教会」である。


 彼が中学生の頃、母親がこの教団に入信し、相続した不動坦や亡夫の保険金まで寄付する有様で、この結果、実家が経済的に破綻してしまった。そうした経緯で教団を深く恨むようになり、そのトップを殺害しようとしたが、イベントは警戒厳重で断念せざるを得なかったという。


 その殺意が安倍元首相に向けられたのは、祖父である岸信介・元首相の時代から教団に協力し、安倍元首相自身が関連団体の集会にビデオメッセージを寄せたのを見たから、ということであるらしい。


 どこまで本当か、精神鑑定を含めた捜査がもう少し進んでからでなければ、なんとも言えないはずなのだが、マスメディアでは早々に、この教団と安倍元首相ら自民党幹部との関係にスポットを当て、政治家と宗教団体との関わりを問題視するようになった。


 その教団こそが、世界基督教統一心霊協会で、統一教会(=協会)の略称で知られていたが、2015年に名称を「世界平和統一家庭連合」に変更した。「旧統一教会」の表記がよく見られるのはこのためだが、組織実態は何ら変わっていないと判断されるので、本稿では「統一教会」の表記をそのまま使用する。


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