1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

グローバルなブーム続く小型モジュール炉投資(下)

Japan In-depth / 2022年8月17日 19時0分

英国は2020年11月に策定した10件の脱炭素技術への投資計画である「グリーンリカバリー計画」の一環として、大型炉新設とSMR、先進モジュール炉開発を進めている。ロールス・ロイスが国産SMRとして高温ガス炉の開発を進め、2030年代初期に初号機完成、2035年までに10基の建設を目指している。


欧州連合(EU)では、原子力発電が発電電力量の67%を占める(2020年)フランスが2030年までに国産SMR「NUWARD」の原型炉を建設する(今年2月のマクロン大統領演説)としている。EUの行政執行機関である欧州委員会は今年2月、原子力発電所を気候変動対策に適した事業として条件付きながら認定している。原発廃止を掲げていたドイツ、ベルギーでは、ロシアのウクライナ侵攻によるロシア産エネルギー受給不安から、原子力発電所に対する再評価の動きが出てきている。


ロシアでのSMR絡みで注目すべきは、ロスアトムが開発・建設した世界で唯一の浮揚式原子力発電所「アカデミック・ロモノソフ号」。原子力砕氷船技術を生かしたもので、出力3.5万㎾の加圧水型2基で構成。2020年5月、極東の遠隔地で営業運転を開始し、SMR技術に基づく世界初の原子力発電所となった。同号は北極海を経て極東に配置された。ロシアはまた、シベリア化学コンビナートで鉛冷却高速炉のパイロット実証炉(30万kw)建設を昨年6月から始めている。


ゲイツ氏は2009年秋に来日した際には、中国にも足を延ばした。テラパワーは2017年に河北省滄州市に国営の中国核工業集団(CNNC)とTWRの実証炉建設で合意したが、翌年11月にトランプ政権下で対中民生用原子力技術の輸出審査が厳しくなり、この合意は「頓挫」した。


中国は清華大が中心となり、ぺブルベッド型高温ガス炉実用炉の開発に向け、山東省威海市に実証炉(熱出力25万Wt2基、電気出力21万㎾)を建設し、昨年9月に臨界を達成している。また、CNNCは 昨年7月に国産の軽水炉型SMR「玲龍一号」(12.5万㎾)の建設を開始。完成すると、世界初の陸上商用SMRとなる。


ちなみに、当初、清華大と開発競争を行っていた日本原子力研究機構の高温ガス炉「HTTR」(電気出力3万㎾)は昨年7月に大洗研究所で運転を再開している。


このほか、アルゼンチンが軽水炉型SMR(3.2㎾)を建設中。SMR導入については、サウジアラビアなど中東諸国、ポーランドのほか東欧諸国、インドネシアなどが意欲を示している。日本政府も、2050年の脱炭素実現に向け「導入する」としている。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください