スウェーデンから学ぶ性教育の在り方
Japan In-depth / 2022年8月23日 7時0分
また、「ウェルビーイング」というのは幸福で身体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態をいう。ただ「身体に病気がないこと」を目指すのではなく、それを超えた状態を目指すという考え方だ。
スウェーデンの包括的な性教育
このような活動をしている福田さんに、その原点となったスウェーデンでの経験を伺った。
第一弾で、若者が気軽に性の悩みを相談できる場所として取り上げた「ユースクリニック」が、スウェーデンにはなんと250箇所もあるという。
13才〜24才の若者が利用でき、学校単位で見学に行くような、誰にとっても非常に身近な場所として根付いている。そして「ユースクリニック」と呼ばれるには厳密な基準があり、医師だけでなくカウンセラーや助産師の人がいることではじめて、ユースクリニックとして認められるという。
「SRHRを支えるためには医学だけではダメで、社会的、精神的な面も必要だ」と福田さんは語る。摂食障害、いじめ、友達・家族関係など、性関連以外の困りごとがある時も、スウェーデンの若者はユースクリニックを利用するそうだ。
そして、『スウェーデンのユースクリニックで一番大事にされているのは「こどもの権利条約」と「サルトジェニック・アプローチ」だ』と福田さんは語る。このサルトジェニック・アプロ―チというのは、従来の医学が取ってきた、病気の原因となるもの(=リスクファクター(喫煙、飲酒、肥満など))を解明し取り除くという考え方とは逆に、健康になるための要因(=サリュタリーファクター(適度な運動、良好な人間関係など))を解明し、それを強化するという立場である。
福田さんは「目指すべき健康というのは、その子のウェルビーイングであり、SRHRの定義でいえば「社会的にも気持ち的にも満たされていることだ」と言い、包括的な性教育でSRHRを守る社会にするためにも、この指針を守るべきだと語った。
避妊方法の認知度を高めるには
現在は日本でも緊急避妊薬をLINEで購入できるようになったが、他の避妊薬に対する認知度はまだ低い状態にある。自分たちの選択肢を狭めないためにも、まずは避妊方法の認知が広まっていくことが必要だ。
福田さんが参加しているプロジェクトの一つに、避妊が学べるキットの開発というものがある。『ポケット避妊教室』と名づけられたキットには日本で認可されている避妊具や低用量ピルの他に、妊娠検査薬や潤滑ゼリーの実物や原寸大の写真がはいっており、避妊だけでなく性の健康について考えられるものになっている。
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