スウェーデンから学ぶ性教育の在り方
Japan In-depth / 2022年8月23日 7時0分
また中身には実物だけでなく、それぞれの使い方や注意点、性的同意の取り方や暴力を受けた時の対応などについて書いたカードがついている。
写真)『ポケット避妊教室』
出典)『ポケット避妊教室』って? 避妊は自分の体を守るもの
『ポケット避妊教室』は学校の保健室や薬局に無料配布され、緑のパッケージにすることで性自認関係なく気になった人が手に取りやすいように、また避妊だけでなくSRHRについても考えられるように工夫されている。
「イギリスで使われている「避妊キット」を取り寄せたが、日本で認可されていない避妊方法が多いため、実際にキットに入れるものは少なくなってしまった。」と福田さんは語る。「とはいえ、言葉で知っているのと実物を見るのは大きな差がある、実物を見ることで選択肢の一つとしてリアルに捉えてもらえれば。」 (参考:『ポケット避妊教室』って? 避妊は自分の体を守るもの)
男性のケア
ここまで主に女性の権利や性教育について扱っていたが、もちろん男性のSRHRについても考える必要がある。世界的にみても男性は「小さいことで悩んではいけない」「強くなければいけない」と「男らしさ」を求められる傾向があり、この固定観念で悩んでいる人も多い。
実際スウェーデンでも、ユースクリニックに来るのは7割が女性で、男性は行きづらいそうだ。そこで、予算のあるクリニックでは男性専用の部屋を用意したり、女性と時間帯を分けて対応したりと配慮を行っているところもある。
福田さんによると、公衆衛生的に見ると、自殺率は男性の方が多いのだという。これは女性が比較的周りに助けを求められるのに対して、男性がジェンダー規範の中で最後まで悩みを打ち明けられないことを示しているのではないだろうか。
ちなみにスウェーデンの男性はルッキズム的な「鍛えなければならない」という意識が強く、思うように体づくりができずに悩んでいる男性がクリニックに相談に来るのだという。
いずれの身体的性別においても、またどの国においても「こうあるべきだ」という規範が存在してしまい、それに縛られて悩む人々は多いだろう。全ての人間が自認した性別に満足して生きられるようになるには、「こうあるべきだ」という固定観念の払拭と一人で抱え込まないで相談できる場所の設立が必要である。
トップ写真:スウェーデンの若者たちの様子
出典:Photo by Martin von Krogh/Getty Images
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