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考えものの弾薬備蓄強化論

Japan In-depth / 2022年9月1日 19時0分

不良在庫となる。画期的性能を持つ新型弾薬が登場すると旧式弾薬は厄介者となる。


しかも最新型弾薬を購入する上での障害ともなる。旧式ミサイルで必要数が満たされてしまうと最新型ミサイルを買う理由が弱くなる。まずは極少数しか購入できない。そしてそれは耐用年数が尽きるまで続く。後々まで祟るのである。


 


■ 銃砲弾は充分に保有している


第2は従来型弾薬の大量在庫である。ミサイルや誘導砲弾の自衛隊備蓄量は少なめかもしれない。ただ、それ以外の弾薬は大量に用意している。いまさら積み増す必要性もない。


「陸自に弾薬はない」は誤りである。冷戦時に積み上げた膨大なストックがほぼ手つかずで残っている。


むしろ弾薬がありすぎて困っている。海空もそうだが在庫が多く保管する弾庫がないのが問題となっている。それからすれば戦時に大量消費する223口径NATO弾や155mm砲弾は換爆量の上限まで用意されている。


よく言われる「たまに打つ弾がないのが玉にキズ」も誤解を招く表現である。戦時向けの弾薬ストックを減らしたくない。また射座数や漁業権や入会権の問題で射撃できる機会が少ない。だから平時訓練用の弾薬消費を絞っているだけである。


 それからすれば銃砲弾の備蓄増強も考えものなのである。



陸自は155mm砲弾や223NATO弾を充分保有している。野砲中砲化や小口径弾導入から30年以上経過している。何でも貯め込むクセがある陸自は相当量保有している。


写真)155mm榴弾砲(FH70)2004年7月16日


出典)JGSDF(陸上自衛隊)


 


■ 南西方面の戦いと合わない


 第3が南西諸島の戦いとの不整合である。仮に日中戦が発生し中国の進攻が発生したとする。その場合でも弾薬は不足しない。


 そもそも中国に南西諸島進攻の構えはない。それ以前に日米同盟と真正面から衝突するつもりもない。それは自滅の戦いとなる。まず日米は台湾独立を許し承認してしまう。また日米海空戦力により中国海軍力が滅ぼされる事態でもある。


 仮に中国による南西諸島進攻を想定しても弾薬備蓄を増強する必要もない。


まず陸戦用の銃砲弾は不足しない。


 島嶼戦であり比較的小規模かつ短期間の戦闘だからである。先島の面積からすれば多くても数ヶ大隊規模の戦いであり長くても2週間超である。ウクライナの戦いとは違う。そこに軍団/方面隊規模、まずは30ヶ大隊を投入する前提の弾薬を準備しても仕方がない。


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