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考えものの弾薬備蓄強化論

Japan In-depth / 2022年9月1日 19時0分

そもそも上陸を許す状況であれば中国に制空権も制海権も握られている。航空優勢や一時的な制海では上陸戦はできない。つまり上陸前に詰んでいる。陸戦で挽回の見込みはない。


海空戦では米国支援で最新弾薬が湧いてくる。弾薬売却は米軍派遣に先行する。米軍を送り米軍人の血を流すより気前よく最新弾薬を売って日本人に戦わせたほうがよい。死ぬのは日本人と中国人だけで充分である。


なお、米国の支援がもらえない事態なら中国と戦う必要はない。それなら日米同盟は止めて中国と交渉したほうがよい。


つまり想定がおかしいのである。「弾薬は20倍が必要となる」や「2ヶ月が限界であり3ヶ月持たない」は島嶼戦や日米同盟を反映した記事ではない。


まずは大陸で軍団同士が激突する事態でありその期間も異様なのである。「第一次世界大戦でのソンムの戦いでは」と言い出す話であり、日本の防衛からすれば空中楼閣である。


✱1 「<独自>対中有事で弾薬20倍必要 九州・沖縄の備蓄1割弱」『産経新聞(WEB版)』(産経新聞デジタル、2022年8月12日)<独自>対中有事で弾薬20倍必要 九州·沖縄の備蓄1割弱 - 産経ニュース


✱2 「自衛隊「2カ月で弾切れ」 有事想定足りぬ装備・施設」『日経電子版』(日本経済新聞社、2022年7月28日)自衛隊「2カ月で弾切れ」 有事想定足りぬ装備·施設: 日本経済新聞



写真)RIMPAC(Rim of the Pacific Exercise:環太平洋合同演習)で、USS戦艦コロラドから発射されるESSM(Evolved Sea Sparrow Missile)ブロック1Cミサイル 2016年7月16日 太平洋上にて


出典)Official U.S. Navy Page


ESSMブロック1はすでに先が見えている。海自が「もがみ」級フリゲートに発射機ごと不搭載を決めたのはブロック1を買いたくないため、そして21年末の発射機予算化はブロック2の購入目処がたったためだろう。



海上自衛隊は旧式対空ミサイルの始末に20年以上を要した。70年代末に戦闘機用のスパローを購入したが直後に軍艦用のシースパローが登場し旧式化した。それから20年以上経っても対応艦の「しらね」型退役まで処分できなかった。


写真) 第 131 攻撃戦闘飛行隊 (VFA-131) F/A-18C ホーネット航空機から発射されたAIM-7 スパローミサイル .1992年12月2日、ルーズベルト ロードの海軍基地付近で。Photo by Commander John Leenhouts, USN.


出典)Photograph Curator(Public Domain)



弾薬備蓄20倍は大法螺である。島嶼戦の規模や期間からすればまずは撃ちきれない数である。また島嶼には保管しきれず上陸戦が始まると内地在庫も島嶼まで輸送もできない。


写真)第一次世界大戦で集積された砲弾の打殻


出典) National Library of Scotland収蔵(撮影:Tom Aitken)CC BY 4.0


 


トップ写真:12式地対艦誘導弾 2018年1月28日


ミサイルの大量備蓄は筋が悪い。高額でありながら短期間で旧式化するため防衛費の無駄遣いとなる。写真は12式SSMと発射機、今後に米国採用のNSMミサイルを模倣した新型SSMが登場すると前世代化してしまう。


出典:JGSDF 陸上自衛隊


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