軍拡路線追認する新聞に問う その1
Japan In-depth / 2022年9月12日 0時6分
整備の予算拡大を要求する前に過剰に高い調達単価と維持費を抑え、維持整備費を意識した装備選択をするべきだ。何人も防衛省記者クラブに記者が詰めていながら、なぜそういう視点で記事がかけないのか大変不思議な話である。
(以下、引用)
>防衛省は非公式に実態を調査した。全装備品のうち足元で稼働するのは5割あまりだった。稼働していない5割弱のうち半数は「整備中」だが、残りは修理に必要な部品や予算がない「整備待ち」に分類された。
(引用おわり)
日経の報道だと最近調査しましたと読めるが、それは事実ではない。自衛隊は装備の稼働率に大変無関心だった。実はかつて各幕僚監部は主要装備の稼働率を調査、把握していなかった。
そこで十数年前に稼働率の低さを問題視した内局が主導して調査を行うようになった。その結果は惨憺たるものだった。筆者は歴代防衛大臣に稼働率の開示をすべきではないかと質問してきたが、「敵に手の内は明かせない」と断ってきた。「敵」というのは納税者のことだろうか。
実はその稼働率に低さは東日本大震災という「実戦」で明らかになった。偵察用のバイクなど稼働率は3割程度だった。装備の稼働率が高ければ救えた命ももっと多かった可能性がある。だが防衛省は稼働率の公表を避けてきた。防衛省には稼働率の向上など触れるべきではない、自分たちは正しい、現状でいいじゃないかという意識が強かった。
従来よりも巨額になることが明白な概算要求が出た頃に、その「手の内」を防衛省関係者が日経に内容や数字を教えたのだとしたら、それは日経が防衛省、あるいは政権の意を汲んだ記事を書くことを期待していたからではないだろうか。
(以下、引用)
>日本の2022年度の防衛予算のうち、維持整備費は1兆1000億円と2割ほどを占める。「整備待ち」を解消するには「倍以上は必要」との意見がある。
>弾薬の中でも深刻なのは、ミサイルを迎撃する地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)などに使う精密誘導弾の不足だ。自衛隊幹部は「南西諸島で有事があれば数日も持たない」と明かす。
>PAC3は1発あたり数億円とされる。迎撃ミサイルには1発数十億円のものもある。予算の枠内での優先度は低かった。
(引用おわり)
▲写真 地対空誘導弾ペトリオット(PAC-3) 出典:航空自衛隊
基本的に防衛省や自衛隊では対空ミサイルのセットがあればいいや、演習でミサイルがあればいいや、というのが防衛省と自衛隊のスタンスである。そして国産ミサイルは調達数が少ないこともあって、たいへん高コストだ。ミサイルの備蓄を増やすより、システムの調達を優先してきたのだ。
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