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軍拡路線追認する新聞に問う その1

Japan In-depth / 2022年9月12日 0時6分

防衛省には安価な外国製に切り替える、それが嫌ならば零細規模のミサイル関連防衛企業を統廃合して生産効率を向上させるという、どこの国でもやっている方策をとらずに、漫然と高コスト調達を続けてきた。


これは航空機や電子機器など他の装備でも同じだ。メーカーを統廃合すれば多くの零細メーカーに細切れで細く長く、発注してラインを維持する必要がなくなる。ただそれには痛みが伴うし、天下り先も減るので、防衛省、自衛隊はこれを放置してきた。しかも日本の防衛産業は輸出市場でコスト競争に晒されていないので、高コスト体質が染み付いている。


防衛省は北朝鮮の弾道弾は大脅威だとして、MD(ミサイル防衛)に力を入れていると表明してきた。だが海自のMD用イージス艦は8発しかSM3を搭載していない。担当の2隻で16発、通常は弾道弾1発に対して2発のSM3を撃つので、弾道弾8発にしか対応できず、飽和攻撃にはお手上げだ。これを長年放置してきた。MDも形だけで本気で対処する気がなかったからだろう。危機が切実であれば、他の装備を減らしてでもSM3を調達していただろう。


(以下、引用)


>弾薬は長期間は保管しにくい。政府の内部資料によると、機銃や迫撃砲の弾を含む弾薬全般の備蓄は「最大2カ月ほど」とされるが、既に1~2割は古くて使用できないとみられる。


>ソ連の侵攻に備えた冷戦期のまま、いまも日本の弾薬の7割が北海道にある。中国の脅威が迫る九州・沖縄は1割以下だ。弾薬庫の設置が進まない。


(引用おわり)







▲写真 北海道補給処近文台弾薬支処 出典:陸上自衛隊


この「内部資料」も大概怪しい。陸自では現用の弾薬だけではなく、その昔使っていた106ミリ無反動砲や最近退役した203ミリ榴弾砲の弾薬も大量に備蓄している。その廃棄は遅々として進んでいない。それは廃棄費用を捻出ができないからだ。既に退役して撃つ砲がない203ミリ弾をどのように活用するのだろうか。


少なくとも陸自に関しては、不要な弾薬を廃棄すればその分収納能力に余裕がでてくるはずだ。それを概算要求ではまったく廃棄費用を増やす必要性を説かずに、弾薬庫の新設だけ主張している。また新規の弾薬庫の建設には火薬法などの見直しも必要ですが防衛省にはその気はないようだ。


情報提供者の情報がどのような意味を持つのか、日経の記者は自衛隊の実態を取材した上で判断すべきではないだろうか?


この記事だけを読めば、普通の読者は、自衛隊は予算が無いから、整備もできずに弾薬もたりないのだ、であれば防衛費の大幅な増額もやむなしと考えるだろう。


私から見ると世論誘導や情報操作のような記事になっている。防衛費の一面だけを読者に提供することで、防衛費増額やむなしという世論が醸成されてしまうことはあってはならない。控えめにいって世論をミスリードする記事だ。


(続く)


トップ写真:「部品取りされたF-2戦闘機」 出典:防衛省「我が国の防衛と予算」令和5年度概算要求の概要


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