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軍拡路線追認する新聞に問う その2

Japan In-depth / 2022年9月14日 22時0分

筆者より遥かに影響力がある日本経済新聞が、防衛費の使い方をもっと報じていれば、現在のような歪んだ装備調達偏重の予算の使い方はある程度変わっていたはずだ。





▲写真 平成26年度国内における米陸軍との実動訓練(2014年11月27日) 出典:陸上自衛隊HP


(以下、引用)


>演習や訓練などのために部隊が移動する場合、予算から高速道路料金が捻出できないことがある。一定の幹部以上でなければ、一般道を走ったり、目的地よりかなり手前のインターチェンジで降りたりして節約することがあるという。


>在日米軍は日米地位協定に基づき、軍用車両が施設間を移動するときに有料道路を使う場合、支払いが免除される。自衛隊は災害派遣時などは無料だが、通常の移動や訓練目的では一般の人と同様に支払う。


(引用おわり)


意図してかどうかは、知らないが予算問題と法整備の問題を混同するのはこのシリーズの執筆者である各記者と担当デスクの能力に問題があるのではないか。


これは予算の問題ではなく、道路法の車両規制と同じく法整備の問題だ。道路法の規制で装輪装甲車は横幅2.5メートル以下となっている。だから96式装甲車などまでは、2.5メートル以下の横幅に収められていた。そして機動戦闘車もそれで行こうとした。だが物理的に横幅2.5メートルで105ミリ戦車砲の反動を吸収できるわけがない。そこで三菱重工と機甲科OBが説得して例外規定を使うことで横幅を3メートル弱に拡大することになった。当初の陸幕の主張通りに作っていたら主砲を撃ったらひっくり返る欠陥兵器ができていたろう。


実は国交省に年に1回書類を出すだけで横幅の規制を緩和できる。だが、防衛省も陸幕もその程度のことを嫌がった。法律の改正が面倒くさいのと、これを遵守していれば横幅の大きい外国製装甲車を調達から排除できるからだろう。


96式装甲車にしても8輪車のくせに、不整地走行能力が低く、雪でもないのにチェーンを巻かないと走行できない。実際コマツの設計者からはせめて2.6メールまで横幅があれば、と悔やんでいた。だが陸幕がそもそも装輪装甲車は路上でしか使わないよね、不整地では下車戦闘だよね、とういう夢想的な運用を考えて開発と調達を進めてきた。


実はこの道路法のこの規制には「在日米軍を除く」とある。つまり、これに「自衛隊も」と書き加えるだけで国交省に毎年書類出す必要もなくなる。それは記事にある高速道路の料金問題も全く同じだ。これを書いた記者はそのような視点が欠けている。これを予算の問題だと断じるのは見識の欠如である。


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